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Love of eternity

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3.

「よし、いいだろう。アルデバランが明日にでもおまえの宮に行く」
「いいでしょう。シャカはまだ控え室にいましたけど、衣装を褒めるだけにしておきます」
「おい!勝手に決めないでくれっ!」
 がしりと固く握手するデスマスクとムウに、慌ててアルデバランが割って入ったが、アテナにしっかりと邪魔をされた。
「これってとても綺麗で恰好いいですが、ひとりで着るのは大変そうですね?」
 横から沙織が話しに加わり、ムウの姿に目をキラキラさせながら見つめる。ムウは「そうなんですよ」とアルデバランを無視して、沙織に愛想良く応対した。
「祭事用の衣装はどれも凝った作りで。これでもまだ質素なほうですよ。黄金聖衣よりも動きにくいし、重く感じますね。シャカの衣装なんて、それこそ、女官が三人がかりで着付けてましたからね。口をへの字に曲げて、されるがままのシャカを見ているのは楽しかったですよ。滅多に拝めませんから」
 くすくすと笑うムウに沙織は益々目を輝かせた。
「どんな姿なのかとても楽しみだわ。でも本当は貴方たちは踊ったりはしないんでしょ?」
「ええ、本来は。でもアテナのご命令とあらば、粉骨砕身尽くす所存です。また次の機会がございましたら、デスマスクやアルデバラン、そこで済まし顔で座っているサガにもお命じ下さいませ」
「―――ムウ」
 厭そうな顔をしながら睨みつけるサガをムウは目を眇めると、再び沙織へと向き直る。
「それではわたしはこのへんで。出番まで大人しく待機します」
「ほかの皆さんにも楽しみにしていると伝えてください」
「承知致しました」
 颯爽と風を切るように去っていくムウの後ろ姿を惚れ惚れとした表情でアテナは見送りながらサガに声をかけた。
「聖域にこんな華やかな祭りもあるとは知りませんでした。アイオリアに感謝しないと。ね?サガ」
「―――アテナ不在の際には教皇の誕生日に祭事の宮の者たちによって聖域の繁栄と平和を願い、毎年行われていたものです。しかし、今回のように黄金聖闘士も混じってというのはアテナがご降臨になられた時とか、教皇が新たに就任なされた特別の祝いの時のみです。一介の聖闘士の望みにより催されることは今までに一度たりとてなかったことですが……アテナのお計らいにより、皆も嬉々としております」
 すっと目元を伏せ、この話を持ち込んだ張本人のサガは口元を緩め柔らかな微笑を湛えた。
「特別だなんて勿体無いわ。平和の折には私の誕生日には皆さんの雄姿を毎年拝見したいものです。だめかしら?」
「アテナがお望みとあらば、喜んで」
「ありがとう」
「―――失礼いたします。そろそろ始めても宜しいでしょうか?」
 すっと二人の前に現われた年配の女官が畏まりながら開演を告げにきた。
「ええ。お願いします。アルデバラン、アイオリアをそろそろ起こして下さいね」
「御意」
 深々と女官は頭を垂れると、すっと裏舞台へと姿を消した。
「おい、目を覚ませ!」
 アルデバランはくったりとしているアイオリアに気合を入れるとビクっと目を開けた。
「う…ん…?ここは……あれ?」
「大丈夫?アイオリア?」
 顔を覗かせた沙織に驚いて、椅子から滑り落ちそうになりながら、アイオリアは引き攣った笑いを浮かべた。
「い!?……ははは…ア…アテナ。失礼致しました。えっと…これは一体…?」
 ぐるりと周囲を見渡し、見覚えのある場所だとアイオリアは思いながら、何やら華やかな雰囲気とそこかしこに漂う緊張感に気が呑まれそうになった。
「おめでとうアイオリア。今日はあなたのお誕生日ということで、ささやかながら聖域の皆からあなたに祝福の舞を贈りたいとのことです」
「え……」
「しっかり、目を開けて耳かっぽじって堪能しろよ?二度とないぜ、こんなこと」
 後からアイオリアの頭を軽く小突くデスマスクは実に愉快そうに笑っていた。
 狐につままれたように唖然としながら、アイオリアはそれでもにっこりと笑った。


作品名:Love of eternity 作家名:千珠