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【Livly】誰も知らない物語

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一方、サファイアもそんな生ぬるい生活に慣れてきていた。
ルチルが分け与えてくれる小さな昆虫たちはかなりの量を食べないと腹に溜まらないが。
最近、ルチルのいない時間がとても長く感じられた。
あのピグミーは、口数が少ない自分にいつも嬉しそうに話しかけてくる。
そしてどうやらモンスターと暮らしているということを誰にも言っていないようだった。
変わった奴だ、と思う。
けれど悪い奴ではないらしい。

眠るとき、ルチルは小さな体を丸めて、サファイアによくしがみついてくる。
そのときサファイアは、おかしな感情を抱く。
まるでからっぽな胸に何か詰まるような、不安定で、満ち足りた感情だった。

何故、リヴリーが自分を看病してくれるのか。
何故、自分はそれにおとなしく従ってこんな島で暮らしているのか。
自惚れかもしれないが、ルチルは自分がいないとどうなってしまうんだろう?とも思った。

こんなに弱くて、愚かで、そして彼の言葉を借りればルチルの方がよっぽど寂しがりだった。

では何故、自分はこんな小さな生き物のことを気にかけるのか。

ルチルと生活を始めてから、いっそ殺そうかと考えてしまう夜は多々あった。
その笑顔を見ていると、食べてしまいたいとまで思う。
なのに食べてはいけない気がする。
わからなかった。こんな葛藤は初めてのことだった。