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【Livly】誰も知らない物語

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サファイアは薄々気づいてきた。
チームで、ルチルがどんな扱いを受けているか。
それでもルチルは、みんなは悪くないと言う。

「ぼく、ばかだもん」

ルチルは笑った。自分は黄色いし、レベルも低いし、飼い主もいないのだからそれなりの扱いを受けるのは仕方ないといった。
サファイアは、「ああ、本当に馬鹿だ」と繰り返し言った。
それに対してもルチルは笑う。
だがルチルは恩人である。サファイアは、そいつらを食い殺してやろうかとすら思ったが、きっとルチルはそれを望むわけがないだろう。

「それで、そのチームとやらは何をするものだ」

彼女は苛立ちを抑えて尋ねる。
ルチルは首をかしげた。
そういえば、何をしているんだろう。
パークで『モノクロ』の人たちが来ると、他のリヴリーたちが帰ってしまうから「きっとすごいことしてるんだろう」としか思わなかった。
それを聞いて、サファイアはため息をついた。
全く愚か過ぎる。リヴリーというのはこんなにレベルの低い生き物なのか。

「しかし、お前は嫌なことをされているのだろう?」

サファイアは、自然と自分の声色がまるで幼い子に話しかけるように優しくなっていることに気づかない。
ルチルの「でも」は続く。

「何故お前はチームを抜けない?」

抜けるなんて発想、なかった。
気づいたらずっとチームにいたのだから。
けれど確かに考えてみれば、チームのみんなは誰もルチルに親しく接してこなかった。
もうチームにいる理由も、必要もない。
だけど、抜けるなんてリーダーが許すわけないだろうとびくびくしながら、ルチルは言い出したのだ。