二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【Livly】誰も知らない物語

INDEX|18ページ/32ページ|

次のページ前のページ
 

「ああ」

リーダーは言う。

「かまわないぞ」

弾けたように、ルチルが顔を上げる。
その表情は「なんで!?」と言わんばかりだった。

「と、ともだちが」

聞かれてもないのに、理由を述べ始める。

「ぼくの、ともだちが・・・リーダーはどんな人って」

立ち去ろうとしていたリーダーは振り返る。

「だから、ぼくは言ったんだ。すごく強くて、かっこよくて、みんなをまとめてるすごい人って!」

リーダーは小ばかにするように口元を歪めたが、それに気づかずルチルは続けた。

「でもね、サファ・・・ともだちが聞いてきて、ぼく答えられなかったの。『モノクロ』は何をしてるチームだ、って・・・ぼくも、よくわかんなかったの。
 よくわかってれば、もっとチームのみんなの役に立てたのかなあ」

「お前が役に立つ?笑わせるな」

リーダーは言い放つ。
ルチルはまた、首をかしげた。

「『モノクロ』なんて大したチームでもなんでもねぇよ、ただのゴロツキが好き勝手に集まって、騒いでるだけだ。お前だけで何が変わる」

ルチルはいてもいなくても同じ存在だった。チームの役に立つわけでもない。
それに、リーダーは「モノクロ」がチームとしてこれから廃れていく運命しかないことに気づいていた。
暴れん坊で我侭な連中の集まりだ。
ルチルは必要ない、しかし、他のみんなが必要になるわけでもない。
気づいたら強い自分に寄って来ていた、あいつらはそんな連中ばかりなのだから。
そんなルチルの顔にはショックの色がありありと浮かんでいた。

「そ、そっかあ」

だがわざと笑顔を繕って言った。

「今までありがとっ、リーダー!」

手を振る。
もちろんリーダーは振り返すわけがない。
馬鹿な奴が一人減っただけ。
その後姿に、リーダーは言った。

「最近、巨大なモンスターがこのへんをうろついてるそうだ」

ルチルは、背中に冷水をぶっかけられたかのように、息が出来なくなる。
心臓が貫かれたようだった。

「お前にモンスターの匂いがする」

どきどきした。いや、どきどきなんてものではない。
死んでしまうのではないか、と思うほどに心臓が高鳴る。
だが、リーダーは気づいていない。
このときは、まだ。

「気をつけろよ」

珍しく心配の言葉をかけただけだった。
ルチルはそれにほっとして、また笑って見せた。

「だいじょーぶ、モンスターなんて見たことないから!」

最近のルチルは、ずいぶん嘘がうまくなっていた。