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【Livly】誰も知らない物語

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血の味


気配を感じた。
確か、ルチルはリーダーにチームを抜けることを伝えにいっている。
この殺気だった気配は、あの呑気なルチルではない。
サファイアは辺りを見回した。

そのとき、茂みが動く。
飛び出したのはオオカマキリだった。
しかし、その体格の差は一目瞭然だ。サファイアより二周りほど小さい。
狩りの腕だって、それは同じだ。
サファイアはオオカマキリの体を押さえる。
多少鎌で体を切られても気にしない。
即死するように首を喰らった。

久しぶりに感じる血肉の味だった。
狩りの高揚感に狂ってしまいそうだった。
どのくらい、このような大きな生き物を食べていないだろう。
自分はこの間までどんなモンスターもリヴリーも、自分と似たクモでさえ狩っていたというのに。

そして、今回の狩りは今までと異なる感情を覚えた。
一通り喰い終った後、何故か罪悪感が募る。
ルチルはまだ帰らない、そのことに安心した。
きっと、あのピグミーはこんな姿を見たら慌てて逃げていくだろうと思った。
あるいは、それこそ抜けたがったチーム『モノクロ』の連中に助けを呼ぶか。
しかし、これが本来の姿だ。何を隠すのか。そう思うのに、無意識に地面に染み付いた血の跡を誤魔化そうとしていた。
まるで嫌われたくないみたいだ。
そんな自分を笑うしかない。
リヴリーとモンスターの共存なんて出来るわけがない。
きっとあのルチルは食べたらとても美味しいだろう。こんな痩せっぽちなオオカマキリよりずっと。
なのに食べない自分がとてもおかしくて、笑いが止まらなかった。
ルチルと会うまではひたすら襲い、喰らうことで生を満たしていたというのに今は食べることを我慢している。
笑えてしまう。そっちの方がよっぽど生きてる気がするなんて。
自分に感情があるなんて。恩があるなんて。
笑ってしまう。
愚かだ。
ルチルの馬鹿がうつったのだと思う。
それと同時に、とても泣きたくなった。泣きたいなんて気持ち、おそらく初めてのことだった。
失いたくないものがあるということを、彼女は認めたくなかった。
リヴリーを大事だと思うなんて。


愛されていると感じるなんて。