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【Livly】誰も知らない物語

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G.L.Lへ


ルチルが目覚めたとき、まだ胸に痛みは感じたが傷はだいぶ治っていることに気づく。
呼吸もしやすい。
見覚えのある場所だったが、すぐにはどこかわからなかった。
そこはノワールの島だった。
まさか自分がリーダーに治療されるなんて。
そこで気づく。

「・・・リーダーじゃなくて、ノワール・・・」

「起きたか」

ノワールは紙の束を投げた。
ルチルが初めて見るそれは、リヴリータイムズの号外だった。
『リヴリーアイランドの崩壊か、暴れる巨大なジョロウグモ』と大きく書かれている。

「お前の友達とやらは、ずいぶん騒いでるようだな」

ルチルは目を見開いた。
書いてあることは全て、真実だ。
サファイアがリヴリーアイランドのリヴリーたちを襲っている。

「教えろ。お前がどうしてモンスターと親しくなったんだ?」

呆然としているルチルに、ノワールは問いかけた。
ルチルはまっすぐ見つめて、話し出す。
あるとき、島に傷だらけのジョロウグモが現れ、モンスターと気づかずに助けようとしたこと。
それからサファイアとの生活が始まったこと。
サファイアはモンスターだけど、とても優しかったこと。
そして、サファイアがリヴリーだったときの記憶があると話してくれたこと。
彼女がこうなってしまったのは、見て見ぬふりをした自分の責任でもあること。
サファイアがこうなったのは自分のせいだ。
無理矢理リヴリーの生活を押し付けて、結果サファイアを苦しめ本能を暴走させることになってしまった。
そんな彼女の苦しみに気づいてあげられなかった。
自分がいかに、サファイアを助けたいか。
対価ならいくらでも払えるし、サファイアの犯した罪はなんでも償うとルチルは言った。
その顔がついこの間のサルとは大違いで、ノワールは内心驚いていた。

「お前ひとりで何かできると思ってるのか?」

ルチルは不安げだが、うなづいた。
ルチルは、どんな痛みにも耐えるつもりだった。
例えそれが、死であろうとも。

ノワールはまたルチルに何かを投げてよこす。
それは堅くて赤い表面に金色の縁取りがされたカードだった。

「これ・・・」

「G.L.Lのパスポートだ。見たこともねぇのかよ」

短くせせら笑うと、島の向こうを指差す。

「ここから先へ行くと、G.L.Lの入場門がある。その向こうにはミュラー博士の研究所があるんだ」

「ミュラー博士?」

「俺たちの生みの親みたいなもんだ。ダメ元で頼んでみろ。何とかしてくれるかもしれねぇ」

ルチルはうなづき、ノワールのもっと詳しい道順も聞かず走り出した。
ノワールはその後姿を見て、静かに幸運を祈った。
それしか彼に出来なかった。