百 睡 夢
今日の団活動で、彼女は「うーん…」と重々しい呻き声を漏らすと、高らかに「そうよ!」と叫んだ。
「童心忘れるべからずという言葉があるわ。不景気だか派遣切りだか最近世間は冷たい風に晒されているけど、私たちは子供心に抱いた夢を忘れずに、夢に向かって邁進して行くべきなの!」
首相の就任演説のように高らかな口上を見事に言い切った彼女は、腕を組むお決まりのポーズで椅子の上に仁王立ちしている。そして、とどめと云うように満足そうに付け加えた。
「だから明日はみんなの子供の頃の思い出の品を持ってきて頂戴!以上!」
どうやらニュースサイトを巡っていたらしい彼女の一言で、今日の団活動はお開きとなり、古泉は彼に誘われるがまま、帰路の途中で彼の家へと足を運んだのだった。