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こらぼでほすと ケーキ1

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 とりあえず、衣料関係の店まで引っ張り出せば、後はどうにでもなる。正面切って誕生日の贈り物なんてものをすると、寺の女房はお返ししようとする。別に、誰もお返しなんて期待していない。それでなくても、寺に戻れば何かと世話してもらっているし、イベントごとの食事やら準備なんかもしてくれる。それに対するお礼みたいなものだから、みな、何かしら用意したいのだが、高額商品は却下、もし用意したら寺への出入り禁止なんて申し渡されると、それも難しい。年少組なら、それでもいいのだろうが、大人組は、そうもいかないので、何かわからないように準備するのが常だ。虎や鷹たちは女房とのデートをさせて、それで気晴らしされていたりする。実費は女房たち持ちという体にしているから、ニールは気付かない。トダカは思いついたら、そこで買ってやるということにしている。「たまには、お父さんからのプレゼントも受け取っておくれ。」 なんておっしゃって渡すから、ニールも大人しく受け取る。で、ハイネは、たまに付き合ってもらう用事を作り、そこで自分の分とニールの分を用意することにしている。まだ春というには寒い季節だから、セーターでも贈ることにした。歌姫様のスタッフが、ニールが本宅で治療を受けている時に、ある程度は準備しているのだが、あまり活用されていない。適当なのを適当に着ているので、毎日、似たような格好だ。
「あれ? 」
「この間、トダカさんがくれたんだ。コートより使い勝手がいいだろうって。」
 外出の準備をして居間に戻ったら、寺の女房も着替えていた。赤茶色のダウンコートを着ていた。どうやら、今回の贈り物らしい。中は真っ白なセーターだが、こちらも真新しいものだ。ベージュのパンツも同様だ。フルコーディネートかよ、と、ハイネは苦笑する。確かに、服装のセンスが壊滅的なのだから、フルコーディネートするほうが無難なのだろう。
「いいんじゃねぇーか。間男とデートすんのに、そこまで着飾ってくれると嬉しいぜ。」
「いや、商売用のスーツを買うんだろ? そういう店に行くなら、デニムとかはまずいんだろうと思っただけだ。帰りに、どっかでスーパーに寄ってくれ。」
「了解。」
 ということは、俺も上下セットして用意したほうがいいんだろうな、と、ハイネは内心で考えつつ、外出した。




 キラは、通販サイトをいろいろとネットサーフィンして考えていた。いろいろと商品を見ているのだが、これといったものがピンと来ない。
「ねぇ、アスラン。何かいい提案はない? 」
「うーん、花や果物のようなものが無難だと思うんだけど? というか、キラ、俺に、そういうものを尋ねるのは無謀だと思うよ? 」
 アスランには贈り物のセンスというものはない。なんせ、婚約者だったラクスに、延々とマイクロユニットの動物やハロを贈り続けた男だ。期待してはいけない。とはいっても、キラも、これといって思い浮かばない。高額でなく、それで気に入ってもらえて使ってもらえそうなもの、というのは難しい注文だ。
「シンとレイは本を渡すんだって。悟空はスリッパにするって。で、僕らはどうしよう? 」
 バイト組は、そういうものに決めている。それなら、喜んでニールも受け取ってくれるのは実証済みだ。『吉祥富貴』のナンバーワンホストとしては、そんなものではプライドが許さない。
「うーん、値段がわからないものなら、多少、高額でも受け取ってくれると思うんだけど。」
「それ、とんなもの? 」
「この時期の食材関係なら、カニ? 」
「えーーーーそれは、みんなで食べることになっちゃうでしょ? 」
「アルコール関係はトダカさんに値段がバレるから無理だなあ。他には・・・マフラーとかひざ掛け? 」
「それ、ママは持ってるよ。」
 ニールは、マフラーや手袋という小物は、いくつか所持している。それというのも、じじいーず組がこっそりと買い与えているからだ。うーん、うーん、と、アスランも日常で必要なものというのを考えて、ハタと気付いたものがあった。
「電気毛布は? 」
「電気毛布? ホットカーペットじゃなくて? 」
「ああ、布団の下に敷いたり、掛け布団の中に入れたりするタイプで自動的に温めてくれるんだ。うちみたいな空調がしっかりしている場所では必要ないけど、寺ならいいんじゃないかな。」
 隙間風が入るということはないが、純日本家屋というのは、空間が広い。そして、暖房設備も、それに見合うものが少ない。寺はエアコンは完備しているが、それだけでは寒いからストーブやファンヒーター、こたつも用意している。で、ニールの私室には、それらが用意されていないので、エアコンをタイマー設定しているだけだ。夏は、それでどうにかなっているが、冬は寒いだろう、と、アスランは思い出した。泊りに行くと、朝は寒くて目が覚めることもあるからだ。寺の住人はニール以外は、暑さ寒さなんてものは気合で吹き飛ばせのタイプばかりだから、そういうことまで気が廻らない。
 キラは、その単語で検索をかけると、ずらずらと電気毛布というものが画面に並んだ。
「自動調整機能付きがいいよね? これなら、その温度で維持してくれるみたい。布団乾燥機能とかもあるほうがいいかな? 」
「それより、洗濯できるやつがいいと思う。これとかこれがいいな。」
 家事能力のあるアスランとしては、実際に使った場合を考えて高機能より、簡単に洗えたり収納が楽なものを選んだ。いくら高機能でも洗濯機で洗えないものは手間がかかるし、収納の時に何かと説明書通りに畳んだりしなければならないものよりは簡単なもののほうがいい。
「値段も予定範囲内だから、これならいいね。」
「じゃあ、これを。」
 それほど高いものでもないから、これなら叱られないだろうと、キラもポチッと購入のボタンをクリックする。しかし、なんか物足りないので、羊のおやすみ抱き枕なるものも付け足した。
「くふふふ・・・安眠グッズってことにしよう。」
「キラも使ってみる? 」
 エアコンの温度を低めに設定すれば、ここでも使えるけど、と、アスランは提案したが、ううん、と、キラは首を横に振る。
「僕には生きてる湯たんぽがあるじゃない。抱き枕も兼ねてるし、僕が喉が渇いたらお水も飲ませてくれる高機能だよ? あと、気持ち良いこともしてくれるし? 」
 くふっとキラは笑って、アスランのほうへ顔を向ける。ふたりで暮らして寝床が寒いと思ったことは無い。いつもアスランが温めてくれるからだ。
「それを言うなら、俺も生きてる湯たんぽがあるな。」
「そうでしょう? 僕も高性能だからねー。」
「まあ、感度は良いよ? すぐに融けてしまうぐらいに。」
「きみだって、すぐに熱くなっちゃうじゃないっっ。」
「そりゃ、俺の湯たんぽは高性能だからさ。そうなるのは仕方が無い。返品できないしね。」
「僕のも、そうなんだよね。残念ながら。」
「残念? へー、キラは残念なんだ。」
「残念だよ。返品もチェンジもする必要がないくらい相性が良いんだもん。」
「そういうことならよかった。」
「当たり前だろ? あとは、当日のイベントだね。」
作品名:こらぼでほすと ケーキ1 作家名:篠義