千年王国
「久しぶりだな。ゼロス。」
目の前にはさわやかな顔の顔をよぅく見知った女主人の顔。
そして、なぜか純白のウェディング姿。
ゼロスはぎょっとして、面食らった。
手にはもちろん花嫁さんらしく美しく咲き乱れ編みこまれている純白のブーケ。
そして、横にはもちろん花婿さん。
その花嫁が上等なシルクの手袋の右手で、そっと腕を組むのはもちろん男性。
つんつん黒髪で、口ひげ、筋肉ダルマの人のよさそうな白いタキシードを着たセイルーン王国のフィル王子。
ん?!
女主人のウェディング姿に違和感もあるのだが・・・
何かもうひとつ違和感がある。
彼はすぐに気がついて、もう一度、目の前にいる二人を凝視した。
んんんん!?!?
そこには何度見ても、
ウェディング衣装に身を包まれた、ゼラス様とその左隣には腕を組まれたフィル王子。
狼狽する部下の姿をこの女主人は楽しそうに見つめた。
「と、いうわけでな。ゼロス。」
「私とフィル王子はただいまより夫婦となったのだ。」
そして、満面の笑みで女主人は部下にそう告げた。
「ええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
その大広間には、ゼロスの大絶叫だけが響き渡っていた。