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【シンジャ】発情期は恋の季節【C81】

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 ぴんと尖った黒い耳と毛並みの良い長い尻尾を持った男は、茶色と白の斑模様の垂れ耳と長い尻尾を持った女性に覆い被さる格好へとなっていた。寝台の上にいる二人が今から何をしようとしているのかという事が、分からない筈が無い。まだ日が高い時間であるというのに、二人は今から淫らな行為をしようとしていた。
 濡れ場に踏み込んでしまったというのに、全くその事に動揺していなかった。それは、こうやって濡れ場に踏み込むのはこれが初めての経験では無いからだ。今まで何度もこんな風に濡れ場に踏み込んだ事があった。今日はまだ二人とも服を身につけていたが、二人とも服を身につけていない時もあった。
「ジャーファル」
 女性に覆い被さるような格好へとなっていた男は、そう言いながら女性から体を離した。黒豹の一族であるその男は、濡れ場に踏み込まれたというのに全くその事に動揺していなかった。それは、こうやって自分に濡れ場に踏み込まれた事が何度もあるからだけでは無い。羞恥心を全くと言って良いほど持っていないからだ。彼にとって濡れ場に踏み込まれる事や、行為を他人に見られる事は恥ずかしい事では無かった。
「よくここが分かったな」
「あなたの行動は全て把握しておりますから。――シンドバッド王」
 今言った通り、目の前にいる男はこの国の王であるシンドバッドである。
 何故シンドバッドが市街地にある単なる商家にいる事を知っていたのかというと、官から美人で評判の果物屋の女主人をシンドバッドが口説いていたという報告を受けていたからである。何故そんな報告が自分の元に入ったのかというと、シンドバッドが気になる行動を取っているのを見かけたら、自分に報告するように皆に通達してあるからである。何故そんな事を皆に通達しているのかというと、自分が何度も王であるシンドバッドの濡れ場に踏み込んだ事がある事から分かるように、女性関係に節操がシンドバッドに無いからである。
 シンドバッドは決して鈍感な男では無い。気になる行動を取っているのを見かけたら、自分に報告するようにという事を皆に言っている事に気が付いていない筈が無い。しかし、その事について彼から何か今まで言われた事は無かった。
「早くここを離れる準備を済ませて下さい。こうしている間にも仕事は増え続けているんですよ」
「分かった」
 その言葉を聞き安堵していたのだが、次にシンドバッドが続けた言葉を聞く事によって、そんな気持ちは跡形も無く消え去った。
「後一時間で済ませるから待っていてくれ」
 普通こんな事を相手から言われれば気分を悪くするものである。しかし、猫の一族である事が分かる特徴を持った彼女は、全く気分を害している様子は無かった。それどころか、行為を急かすようにして、彼女は長い尻尾をシンドバッドの尻尾に絡みつけていた。
 そんな彼女の行動に頬を緩ませたと思うと、シンドバッドは彼女の手を取り彼女と共に再び寝台へと体を預けた。自分が目の前にいるというのに、シンドバッドは彼女とこのまま行為を続けるつもりのようだ。その事が分かった瞬間、怒りが限界値へと到達した。
「いい加減にして下さい! シン!」
 ジャーファルのその叫び声は、建物の前を歩いている者だけで無く、少し離れた場所にいる者にも聞こえるほど大きなものであった。

(中略)

 謝肉宴では皆に料理や酒が無料で振る舞われるだけで無く、至る場所で派手な演技や演奏などが行われる。八人将であるので、何の手伝いもせず料理を食べ酒を飲んでもその事を不満に誰かから思われる事は無い。しかし、謝肉宴の時はいつも料理や酒の手配。そして、配膳や片付けなどという裏方の仕事に徹していた。
 何故わざわざそんな事をしているのかというと、皆でわいわいと騒ぐよりも裏方の仕事をする方が好きだからだ。それ以外に裏方の仕事に徹している理由は全く無い。
「ふう。そろそろ酒を追加した方が良さそうですね」
 皆に無料で振る舞われる酒の殆どは、謝肉宴が行われる時の為に国が準備している物である。何故無料で酒を国が振る舞うのかというと、謝肉宴が貿易だけで無く観光でも栄えているシンドリアの名物であるからだ。
「自分が後の事はするんで、ジャーファルさんは飯食ってください」
 手に持っている空になっている杯が乗った盆を取り上げられると共に、そんな声が上から聞こえて来た。後ろを振り返るとそこには、先程まで自分が手に持っていた盆を手に持っている、大柄であると共に筋肉質な体つきをした青年の姿があった。
 短い髪の間から耳を覗かせているその青年は、自分と同じ八人将のマスルールである。自分よりも四つ年下の彼は、大型犬のような雰囲気をしているが熊の一族である。この国では服から尻尾を出すのが一般的であるのだが、尻尾を出す事を嫌っている彼は服の中にそれを常にしまっており、今も短い尻尾を服の中に隠していた。
 そんな彼の尻尾を見た事があるのは限られた人間だけである。昔から彼の事を知っている自分もその中の一人である。今では顔を見るには見上げなければいけないほど彼の方が身長が大きいのだが、出会った頃は自分よりも彼の方が小さかった。出会った時は、自分の身長をマスルールが抜くだけで無くこんなにも大きくなるとは思っていなかった。
「後で食べるから大丈夫だよ。私の心配をしていないで、もっと食べなさい」
「十分さっき食べたから大丈夫す」
「そう。……だったら、後の事は君に任せる事にしようかな」
 自分の言葉を聞き小さく頷くと、自分から取り上げた盆を持ってマスルールはその場を離れた。大柄で厳つい体格と強面をしている為初めて会った相手から怖がられる事が多いマスルールであったが、性格は温厚でよく気がきく人物であった。
 マスルールに言った通り後の事は彼に任せて食事を取る事にしたのだが、その前に酒が足り無くなっているので追加するようにという事だけは告げておく事にした。近くにいた給仕をしている者にその事を伝えた後、料理を貰う為に女性が中に入っている物を大きな篦で掻き混ぜている大きな壺の元へと向かった。
 大きな壺の中に入っているのは、先程自分が仕留めた南海生物を調理した物である。女性が使っている壺や篦は、謝肉宴が開かれた時に使う用の物である。
「あら、ジャーファル様」
 火に掛けられた壺の元へと行くと、声を掛けるよりも先に自分がやって来た事に気が付いた女性にそう言って声を掛けられた。
「私にも料理を貰えますか」
「はい、勿論ですとも。今日の一番の功労者様なんですからね。まだ食べてらっしゃらなかったんですね」
「ばたばたしていたので。そんなに食べられませんので、その半分ほどで良いですよ」
 容器から溢れてしまいそうなほど、話しながら料理を盛り付けてくれた女性にそう言った。女性が容器に盛り付けた料理の量は、自分一人で食べきる事ができないような量であった。
「そんな量じゃ駄目ですよ。少しは太られた方が良いですよ」
 彼女の台詞は暗に痩せすぎていると言っているものであった。彼女が自分の事を心配してそう言ったのだという事が分かっていたので、その女性の台詞に腹を立てる事は無かった。
「もしも食べられそうに無ければ、残せば良いだけですし」