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君と僕との逆転話-序章-

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飛び出てきたのは水色に井桁の少年。そして次いで少年を守るように、萌葱色の装束を纏った年上の少年だった。
「なんだ、滝じゃないか」
その顔を見て、誰何した七松小平太は声をすっとんきょうな声をだした。
「ちょ、七松先輩、私はここです」
五年生だけにまかせるには多すぎる一年生のうち、どう委員会に所属する皆本を引き取っていた平は、あらわれた自分そっくりな不振人物を指さして叫ぶ。
「まず私はあんなに煤けてはいません、いえ、委員会では多少大変なことになっていますが、この美しさが損なわれることはありえません。だいたいそこの人物の制服は三年のものでしょう、この私は四年です」
「そうか、すっごくどうでもいいな」
滝夜叉丸のことばをどうでもいい、と一蹴した七松に、平が顔を引きつらせた。
「そう、小平太のいう通り、今そんなことはどうでもいい」
立花と潮江が一歩前に出た。食満と中在家が背後を護るように移動する。
七松が口端を上げた。
にぃ、と楽しそうな表情で問いを投げる。
「お前は、誰だ」
「私は――もごっ」
口を開いたのは井桁の少年。遮るように口を塞いだのは萌葱の少年。
もごもごと井桁の少年が抗議の視線を向けたけれど、向けられた少年は彼の肩を掴んだまま、年相応には見えない瞳でこちらを見つめた。
口を開くことはない。勝てないのは明白。ならば情報を一遍も漏らさないよう口を閉じることを選んだのだろう。
立花はそう判断し、七松の名前だけで指示を出す。
「小平太」
「りょーかい」
七松は純粋な戦闘能力においてだけならここにいる誰よりも優秀だ。
捉えようと七松が手を伸ばす。
萌葱の少年が一歩下がった。
武器を出すそぶりはない。
「――小平太」
小さい、しかしその場に響いた声と同時に、七松が飛び退った。
「っっっ……」
ばさり、と唐突に気配が七松の前に現れたことに動揺する。
その場に似合わぬ鮮やかな紫。とっさに苦無を放り投げようとしたが、その色とその顔に七松は無理やり押しとどめた。
「ぁ……」
萌葱の少年が明らかに安堵したように表情を緩ませ、声を漏らす。
それは突如現れたこの紫の少年が彼らの味方だという情報をあらわすのだけれど、七松はそんなことどうでもよかった。
「三之助」
誰も口にしなかったが、六年の胸中は最初から同じ。
萌葱の少年が平に似ていて、今現れた紫の少年が次屋に似ている。
ならば、やはり井桁の少年は六年前の七松に似ているのだ、と。



作品名:君と僕との逆転話-序章- 作家名:まどか