二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【かいねこ】ダーリン  君と手をつなごう

INDEX|12ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

自分の部屋に戻ると、急いで顔を洗い髪をとかし、服を着替える。
まだこみ上げてくる涙を無理矢理押さえ込んで、鏡の前で笑顔を作ってみた。
ぎこちない笑い顔を何度か繰り返し、何とか誤魔化せる程度にはなったので、そっと部屋の扉を開けると、そろりと顔を出して廊下の様子を伺う。
誰の気配もないことを確認し、足音を忍ばせながら階段を下りた。



「いろは」

階段を下りたところでカイトに声を掛けられ、いろはは飛び上がる。

「ひゃっ!あ、か、カイトさ、ん」
「どうかした?」
「あっ、あのっ」

カイトは、いろはの髪に訝しげな視線を投げ、

「髪留めは?外したの?」
「あっ、あのっ、これは、えっと、に、庭で!転んでしまって!!その時に落としてしまったみたいで・・・・・・あ、後で探しに行きます!」
「そう。一緒に探そうか?」
「あっ、だ、大丈夫です!一人で探せますから!!」

いろはは、あたふたとその場を立ち去った。



そーっと台所をのぞくと、メイコが忙しく夕飯の支度をしている。
見つからないよう、忍び足で食器棚に近づくと、

「あら、いろは。どうしたの?」
「ひっ!あ、ご、ごめんなさい!お邪魔しちゃって・・・・・・」

メイコは、首を傾げていろはを見た。

「着替えたの?汚しちゃった?」
「あっ、は、はいっ!あの、に、庭で転んでしまって・・・・・・」
「まあ、大丈夫?どこかぶつけたりしてない?」
「だ、大丈夫です!ただ、あの、か、髪留めをなくしてしまって」
「ああ。マスターが持ってきたやつ?いいわよ、あんなの。もっとちゃんとしたものを買ってもらいなさい」
「い、いえ、あの・・・・・・あ、後で探しに行くつもり、です」
「もう日が落ちる頃だから、一人では危ないわよ。あたしも一緒に行きましょうか?」
「あっ、だ、大丈夫です!暗くなる前に戻りますから!!」

話しながら、いろははこっそり引き出しを開け、果物ナイフを取り出す。
袖の中にナイフを隠すと、「お邪魔しました」と言って、急いで台所から退散した。




いろはが出ていった後、メイコは火を止めて、台所から顔を出す。

「カイト、いる?」
「ああ」
「あの子、ナイフなんか持って、何をする気なのかしら」

陰から現れたカイトは、視線を落とした。

「庭に髪留めを探しに行くんだろう」
「ナイフ持って?馬鹿なこと言わないで」
「いろはがそう言ってた・・・・・・」
「何落ち込んでんの。いいから様子見てきてよ」

メイコに促され、カイトは息を吐くと顔を巡らせ、

「・・・・・・分かった。メイコは、マスターが書斎から出てこないように、見張っててくれ」