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【かいねこ】ダーリン  君と手をつなごう

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「夕べは、落ち着いてお話できなかったわね。貴女、名前は?」
「あっ、い、いろはです」
「あたしはメイコ。マスターはシトロンで、これから会うのがカイト。分からないことがあったら、何でも聞いて」
「はい」
「マスターはあの通り、頼りにならない人だから。カイト、入るわよ」

返事を待たずに、メイコは居間の扉を開ける。
黒いコートを着た男が、本を片手にソファーから立ち上がった。

「おはよう。マスターは?」
「一人反省会中。これで懲りてくれたらいいんだけど」
「さあ、どれだけ保つか」

カイトの言葉にメイコは肩を竦め、

「この子はいろはさん。あんたが面倒見てやって。あたしは、マスターで手一杯だから」
「分かった。この屋敷が人形で埋まらないよう、見張っててくれ」

メイコはもう一度肩を竦めると、いろはを残して出ていく。
どうしていいか分からず、もじもじと立っているいろはに、カイトは笑いかけ、

「好きにしてていい。マスターは当分起きてこないし、ここはもう、君の家でもある」
「あ、はい・・・・・・」

返事はしたものの、座っていいのか立っていた方がいいのか、いろはは、遠慮がちにカイトへ視線を向けた。

「ああ。どうぞ、座って。急に連れてこられたから、驚いただろう」

促されるまま、いろははソファーに腰掛ける。
カイトが隣に座ると、白手袋をした手を、いろはの肩に回して抱き寄せてきた。

「ひゃっ!?」
「まず、マスターに代わって非礼を詫びよう。賭の景品にされるなんて、随分心外だったろうね」
「い、いえ、あの、わ、私」

間近に顔を寄せられ、いろははドギマギしながら俯く。
カイトは気にする様子もなく、言葉を続けた。

「私も、君と同じ経緯で引き取られた。あのマスターは、酒には弱いけれど、賭事に関しては天才的でね。一度も負けたことがないらしい」
「え、あ、か、カイトさんも?」

いろはが驚いて顔を上げると、カイトは微笑んで、

「そう。私達は、同じ経験をした同志だね」
「・・・・・・・・・・・・!」

耳まで赤くなったいろはは、慌てて顔を逸らし、

「えっと、あっ、め、メイコさんも?」
「いや、メイコは、最初からマスターが所有していたんだ。魔道士の友人から、誕生日に贈られたとか」
「あ、マスターが作られたのではないのですね」
「ああ、違う。そもそも魔道士ではないんだ」
「そうなのですか。マスターは、お仕事は何を」
「あなた達、何してんの?」

いろはの言葉を遮るように、メイコが居間に入ってくる。

「えっ?あっ!あのっ!」

いろはは慌てて体を離すが、カイトは平然と、

「いろはと話をしていた」
「その体勢で?」
「駄目なのか?マスターが同じことをしたら、メイコはよろこ」

言葉の途中で、顔面に飛んできたクッションを受け止めた。

「もう少し、暴力衝動を抑えることを学んだ方がいい」
「うるっさいわね!!いいから朝の支度をしなさい!!」
「マスターは、まだ起きてこないんだろう?」
「引きずり出すわよ!!」

カイトは、荒々しく足音を立てながら出ていくメイコを見送ってから、いろはの方を振り向く。

「驚かせて済まない。ああ見えて、彼女は気の優しい女性だから、怖がることはないよ」
「え?あっ、はい」

いろはが慌てて頷くと、カイトは微笑んで、

「どうだろう?二階で寝ている彼を、新しいマスターとして受け入れられるだろうか?」
「あっ・・・・・・多分」

自信なげに呟くいろはに、

「そう。ゆっくりでいいから」

カイトはそう言って、いろはの頭を撫でた。