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【かいねこ】ダーリン  君と手をつなごう

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「いろは、手を出して」
「はい」

カイトに促されるまま手を差し出すと、手のひらに小指の先程度の透明な石を置かれた。

「これが魔石。見たことは?」
「ないです」

しげしげと眺めるいろはに、カイトは微笑んで、

「かなり高価な物だよ。これくらいの大きさで、この屋敷が二軒ほど買える」
「二軒・・・・・・え!?二軒もですか!?」
「そう。魔石の質にもよるけれどね。私達はここに」

と言って、自分の左胸に手を置く。

「魔石を埋め込まれている。魔石は魔力の固まりであり、私達の動力源でもある。ここに蓄えた魔力が尽きると、この間のように昏倒してしまう」

自分の左胸をしげしげと眺めていたいろはは、カイトの言葉に顔を上げた。

「それが原因なのですか」
「そう。本来なら、所有者から魔力を供給されるのだけれど、彼は魔道士ではないからね。いろは、手を出して」
「はい」

いろはが、言われた通りに右手を差し出すと、カイトはその甲にキスをする。

「ひゃっ!?」
「人形同士は、肌を合わせることで魔力を供給出来る。魔力が尽きる前なら、この程度で十分だよ」
「あっ、はい、あの、えっ」

いろはは、真っ赤になって手を引っ込めると、

「えっと、あの、め、メイコさんは、ご自分で出来るのですか?」
「いや。彼女を作った魔道士が、遊びに来るついでに診てくれているよ」
「あ、そうなんですか」

ほっとした表情のいろはに、カイトは微笑んで、

「安心した?」
「えっ!?あ、あのっ」
「いきなり倒れているところに出くわしたら、驚くからね」
「え、あっ、ああ、そうですね。はい。あ、安心しました」

誤魔化すように、いろはは笑った。
そこに、

「なあに?楽しそうね」

メイコが顔をのぞかせる。

「ああ、今、メイコの話をしていたところだよ」

カイトの言葉に、メイコは顔をしかめ、

「何よ。この子に、悪口なんか吹き込まないで頂戴」
「何故そうなる。魔道学の話をしていただけだ」
「またその話?飽きないわね」
「メイコも聞いていくか?パンプルムース氏が来た時、多少なりと役に立つかもしれない」
「ああ、そ」
「え?」

メイコは途中で口をつぐみ、手で口を押さえているいろはに目をやった。

「いろは、どうかしたのか?」

メイコは、いろはに問いかけるカイトの方を、さっと振り向くと、

「そんなの興味あるわけないでしょ!!馬鹿じゃないの!!」
「怒鳴らなくても聞こえるよ。何を怒っているんだ」
「うっさい馬鹿!!」

そう叫んで、部屋を出ていってしまう。
カイトはため息をついて、おろおろしているいろはに微笑みかけ、

「驚かせてすまない。彼女は、時々短気を起こすけれど、放っておけば収まるから」
「で、でも、あの」
「大丈夫。マスターが帰ってくれば、機嫌を直すから」