【かいねこ】ダーリン 君と手をつなごう
それから更に一月が過ぎた、ある週末。
「マスター、遅いですね」
いろはの言葉に、ソファーで本を読んでいたカイトが顔を上げ、
「ああ、今夜はレディ・フレジエの晩餐会だからね。そう簡単には帰ってこられないだろう」
にやっと笑うと、メイコの方へ顔を向ける。
「二ヶ月か。今回は持ったほうじゃないか?」
「まだ、飲んでくると決まった訳じゃないでしょう」
メイコがぶっきらぼうに言うと、カイトは笑って、
「レディ・フレジエに招かれたのに?彼が素面で帰ってこられたら、帽子を食べてみせるよ」
「やめてよ。賭事は嫌いなの」
メイコはツンと顔を上げて、居間を出ていってしまった。
いろはがおろおろしていると、
「心配することはない。いつものことだから。マスターの帰りが遅いと、機嫌が悪くなる」
カイトは、本を閉じて立ち上がる。
「いろはも、部屋で休んでいるといい。マスターが帰ってきたら、また一騒動持ち上がるだろうから」
「あ、はい。あの、マスターは、やっぱり、飲んでこられるのでしょうか」
いろはの言葉に、カイトは肩を竦め、
「レディ・フレジエに逆らえる者がいたら、お目にかかりたいね」
作品名:【かいねこ】ダーリン 君と手をつなごう 作家名:シャオ