二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと ケーキ12

INDEX|3ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

 ミニコンサートは三十分ほど続いて、後半にじじいーずも部屋に現れた。歌姫は、歌うことに突出した能力をコーディネートされている。だから、その歌声で、イメージを増幅し聞いている人間に、歌を届けることができる。アイルランドの牧歌的な歌で、その景色を想像させるぐらいは朝飯前だ。最後に、もう一度、夏の名残のバラを原語で歌った。曲が終わると拍手が響き、レイと歌姫はお辞儀する。
「すごい、すごいよっっ、ラクス、レイ。」
 ニールが手放しで大喜びするので、ふたりして、ほっと息を吐く。原曲を知っているニールが違和感を覚えなければ成功だ。余韻が落ち着く頃に、カガリが、「それじゃあ。メシだっっ。」 と、叫んで全員がダイニングへ移動する。そちらにオイルフォンデュとチーズフォンデュは準備してある。他にも、カガリが持参した食材も料理されている豪華版の内容だ。
「また、大量に持ってきたな? カガリ。」
 この人数でも多いほどの食材に、ニールはカガリに小言だ。消費できないほど持ってくるな、と、毎度腐れ注意しているのだが、改善されたことはない。
「うちは、食べ残してもらうぐらいに用意するのが礼儀だ。小言はいいから、食え、ニール。」
「おまえんちは、そうかもしれないが、多すぎる。」
「そんなことはない。悟空がいるから大丈夫だ。なあ、悟空。食えるよな?」
「まあ、食えるちゃー食える。ママ、何がいい? 」
 そうなのだ。悟空が、ガバガバと消費するから、多すぎても問題はない。悟空がオイルフォンデュに、いろんな具在をクシに刺して投げ入れている。これに、いろんな種類のタレをつけて食べる。
「俺のはいいから、トダカさんたちのを用意してくれ。」
「いい、いい、今日は自分たちで適当にする。」
「そうそう、ねーさんのお祝いなんだから、まずはねーさんの分だ。」
 シンも、チーズフォンデュに具在を投げ入れて叫ぶ。こちらも具在は豊富だ。虎が、そのクシを適当に引き上げて、自分たちの食い扶持は用意している。
「さあて、ママニャン。俺と愛を語らいつつ食事しようか? 」
 ダイニングで、その壮観な料理を眺めているだけのニールを、お姫様抱っこで鷹は居間へ引き返す。本日の主賓なのだから、わざわざ自分で料理を取ることもない。ソファの真ん中に座らせると、ハイネが料理を取り分けて運んでくる。いつもは仕切りがあって居間とダイニングは別々の部屋だが、仕切りを外せば、一体になる。今日は、そんなふうに仕切りを外して、ソファ以外にも机や椅子を、あちこちに配置している。
 八戒は、フォンデュの管理をしている。年少組が無茶なことをしないように監視しているのが担当だ。適当にビールを飲みつつ、亭主とツマミも口にしている。
「鷹さん、ほどほどにな。全員、こいつに料理を持ってくるぞ。」
「わかってるさ。間男くん、ママニャンにはノンアルコールのものを頼む。」
「それは、レイが用意してた。」
 すぐに、レイがノンアルコールのアップルタイザーを運んで来た。そして、鷹とは逆の席に座り込む。
「これなら、チーズフォンデュにも合うと思います。」
「ありがと、レイ。ピアノ上手なんだな。」
「子供の頃、習ってたんです。オーナーの伴奏なんて緊張しました。」
「全然、そんな感じじゃなかったぜ。」
 ニコニコと話しているのに、横手からニールの腰に手を回してくる鷹のちょっかいは、カガリが延髄チョップだ。
「おまえの、その手癖の悪さは天下一品だな? フラガ。」
「いてててぇぇ、おい、嬢ちゃん、やりすぎ。」
「そろそろ代われ。ほら、でかいエビだ、ニール。食え。」
 どんとテーブルに置かれたのは、大きなロブスター丸ごと一匹だ。それをバキバキと解体して、大きな尻尾部分の肉をニールの口元に差し出す。
「おまえが食え、カガリ。」
「何言ってるんだ。せっかく、私が剥いてやったんだぞ? 有り難く食え。」
 ほりゃ、と、口元に出してくるから、がぶりと齧りつく。齧り取ると、今度はカガリが、がぶりと齧りついて、「やっぱりエビは焼きだな。」 とか、おっしゃっている。上流階級出身のお嬢様なのに、サバイバル経験が豊富だと、こんなことになっている。無礼講ならではの光景だ。
「まあ、カガリ。それだけでママのお腹が一杯になってしまいますわ。ママ、カルパッチョはいかがです? レモンを振りかけただけで、あっさりしています。」
 レイが、その声で席を空ける。歌姫様が、そこへ座り込んで、今度は、それをフォークにさして差し出してくる。
「いい歌だった。ありがとう、ラクス。」
「うふふふ・・・練習した甲斐がございました。今夜は、私とカガリが添い寝をさせていただきますわ。」
「いや、それは勘弁。おまえさん、食ってるのか? 」
「ええ、もちろんです。オーヴの食材はおいしいですもの。」
 確かに、オーヴの食材はおいしい。なんせ一級品だ。これでおいしくなかったら、おかしいというものだ。
「はいよ、チーズフォンデュの盛り合わせ、お待ちっっ。」
「こっちはオイルフォンデュとタレ一式、お待ちっっ。」
 どんどんと皿が置かれてシンと悟空がやってくる。ここは居酒屋か? という掛け声だ。
「ニール、ケーキの分は空けておけよ? 」
 背後からイザークが叫んでいる。せっかく用意したのだから食べてもらわなければ意味が無い。各人、居間とダイニングで、飲みながら食事しているので大賑わいだ。じじいーずとアイシャは、その構われているニールを肴に飲んでいる。
「ママ、パエリアはどう? 」
「こっちは、じゃがいものオムレツです。」
 キラとアスランが皿を置くと、歌姫様とカガリが退く。そんなふうに、年少組が料理を配達してくれるので、ニールも食べるのが忙しい。量はこなせないニールは、途中でギブだ。
「悪い、もう無理。ケーキ食わないとイザークに悪いからさ。」
「じゃあ、適当にしてて。俺、後片付けしてくる。」
 悟空は、そこからが本気の食事だ。残っているものを片っ端から平らげていくので、食べたいものを確保するために年少組もダイニングで騒ぎになっている。
「ニール、少しノム? 」
 アイシャがオンザロックにした冷酒を届けてくれて、それをちびちびと飲んで、その光景を眺めている。賑やかで楽しい食事風景というのは、頬が緩むものだ。
「やっと空いたぜ。間男参上。」
 その横にハイネが座り込む。こちらも食事は終わったから、酒を呑んでいる。大人組は、さすがに量は食べないから、ニールと同様に傍観の体勢だ。
「来年、いや、再来年は、うちのも一緒だといいな。」
「まあ、なんとかなるだろう。寝るなよ? イザークが泣くぞ? 」
「わかってるよ。」
 虎がアイシャと代わって、ニールの横に座る。いい宴会だ、と、こちらも強い酒を煽っている。
「このバカ騒ぎが、うちらしい。」
「そうですね、虎さん。・・・三蔵さんは留守番ですか?」
「来ないだろうな。あの人、オーナーが苦手だからな。」
「別に、そんなに構えなくても、ラクスは噛みはしないのに。」
「あははは・・・みんなに取られるのがわかってるから来ないんじゃないか? 女房独占できないってな。」
「独占しても、俺ですからねぇ。」