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第二章





「「・・・・っ!!!??」」


エドワードとアルフォンスが体を取り戻した後、世界は変わっていた。
無事に体を取り戻し、ロックベル家へ向かった二人の目の前に広がっていたのは完全に焼け焦げた一軒の家。
焼いたはずの自分達の家ではない。
そこは確かにロックベル家だった。


「どう・・いう事・・?」


「アル、落ち着け。」

「だって、だって兄さんっっ!!!!!」

「アル、お前はここで待ってろ。」

「兄さん何処に行くの?」

「俺達がここを出たのは今朝だ。なのに・・・もう冷え切ってる。」

「・・・・っ!!!」

「調べてくる。村の人に聞いてくるだけだ。少しここで待ってろ。」

「分かった。気をつけてね。」


エドワードはまだ思うように動けないアルを物陰に隠し、村に向かった。
村では今まで通り穏やかな光景が広がっていた。
誰か人をと探していると後ろから声をかけられた。

「エドワード!!!!!」

「おばさんっ!!」

それは母、トリシャとも仲の良かったおばさんだった。
よくパンを分けてもらったり、トリシャの看病も手伝ってもらった。

「おばさん、ウィンリィやばっちゃんは!!??」

「シッいいから、こっちに来るんだ。」

「・・・・んぐ!!?」

おばさんは周りを確認すると、
エドワードの口を押さえ、強引に家に引き込んだ。


「エドッ!!!!!!」

「・・・・ぇ・・・ウィンリィ!!!ばっちゃん!!!」


そこに居たのはウィンリィとピナコ、それにデンだった。
全員無事に生きていたのだ。

「エドッッ!!!」

「何があったんだよっ!!」

「それはこっちの台詞よっ!!!バカっっ!!!」

「・・・どういう事だ?」


おばさんがアルフォンスを連れてきた後、
ウィンリィは話し始めた。これまでの事を、何があったのかを。
その話を聞いた後、エドワードとアルフォンスはしばらく動けなかった。


エドワードとアルフォンスがトリシャを失い。
それから二人はイズミと出会い、錬金術を学ぶための修行に出た。
そこまでは二人の記憶通りだった。
だが、ここからが大きく違っていた――

修行から帰ってきた二人は突然家を焼き出て行ったというのだ。
何年間か行方知れずで何処に居るのだと思っていたある日、軍人殺害容疑で二人の名前が上がった。
それから次々と軍人が何者かに殺され、その度に二人の名前が上げられた。
そしてついにエドワード・エルリック、アルフォンス・エルリックは軍人連続殺人犯として指名手配されたのだ。
共に国家錬金術師並みの実力者であるという情報から、総指揮は国家錬金術師であるロイ・マスタング大佐が任命された。
エルリック兄弟が潜伏しているかもしれない可能性が少しでもある場所が調べられていった。
真っ先に生家は調べられたのだが、1週間程前に再度リゼンブールに訪れたかと思うと、ロックベル家が怪しいということで問答無用で焼き払ったのだ。
それがウィンリィの知る全てだった。


「「・・そんなっ」」


「エド、アル、あんたたち今まで何してたの?」

「・・・・・・・・違う。違うっ!!!!!」

「・・・・・どうして・・・っ・・」

「俺たちの記憶と違うんだよっ!!」

エドワードもアルフォンスも頭を抱えた。
自分達が必死に歩んできた道、自分たちが確かに覚えている記憶。
それとは全く異なる現実。


「記憶と・・違う?ってどういう事よ。」

「俺達は殺してなんかない。それに大佐はロイ・マスタング大佐は・・・知り合いだ。」

「兄さんは国家錬金術師なんだ。僕達は体を取り戻すために今まで必死に・・・」

「国家・・・体を戻す?・・何を言ってるの?エド?アル?」

ウィンリィだけでなくピナコも本当にエドワードやアルフォンスが何を言っているのかまるで分からないという顔をしていた。
アルフォンスが体を失い空っぽの鎧姿でいたことだけでなく、エドワードが機械鎧だったことすら覚えていない。
手術をしたことも、調整をしてきたことも、何度も壊すなと怒ったことも。


「・・・・・・ちくしょっ・・」

「どうして・・・こんなことに・・っ・・」


作品名:past 前編 作家名:おこた