バツイチ子持ちを落とす100の方法
「あなたのお父さんに甘えるように、思い切り甘えてしまいましょう。女の子を持つバツイチ男性は、イチコロです^^v」
自分の一番苦手なことが、能天気な顔文字入りで書かれている・・・。
思わず冷凍しそうになったが、ぐっとこらえて考える。
そういえば、久しく自分の父親にさえ甘えたことなんてないことに気がついた。
小学校の低学年ぐらいのときまでは、おもちゃを買ってほしい、どこかに連れて行ってほしいとねだったり、仕事の都合でピアノの発表会にこいけないという父に泣いてぐずったりした覚えがあるが・・・。
今の自分が父や虎徹にそんなことをしている場面を想像したら、ぞっとするどころではなく死にたくなるくらい嫌である。
「ダメだこの本!!」
最初の1ページで早くも投げ出してしまった。
数日後・・・
学校が終わってからいつものようにトレーニングルームに顔を出すと、
「よう、ブルーローズ」
と、アイツが声をかけてくる。
「さっむいのに、んな短いスカートで大丈夫なのか? 女は腰冷やすもんじゃねぇぞ」
相変わらず、デリカシーのかけらもない言葉。
「余計なお世話!! ソッチこそオヤジなんだから気をつけなさいよねっ」
「ひでぇな・・・言うに事欠いてオヤジはないだろ~?」
「高校生のブルーローズから見たら、十分オヤジですよ。虎徹さん」
「バニーちゃんまでそういうこと言う?」
「だって事実ですから」
これ以上言い争っても不毛だと悟ったのか、虎徹は頭を掻いてマシンのほうへ行ってしまった。
作品名:バツイチ子持ちを落とす100の方法 作家名:みのり