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Ecarlate

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「…トリシャ・エルリックって…母さん?!」
 少年は震える指で、資料をめくった。
「…リゼンブール在住…、て、…やっぱり母さん…なのか…?」
 呆然と呟き、彼は目を見開いたまま椅子に座り直した。
 …まさかこんなことで母親にたどり着くとは思ってもみなかった。
「…十四年前、ってーと…」
 呆然と口元を押さえながら、エドワードは呟く。そう、その頃なら自分は生まれていただろうが、アルフォンスはどうだろう。生まれるか、生まれないか。日付を見ればはっきりするわけだが…。
 だが母からそんな話を聞いたことはなかったし、それはピナコや他の村人からもそうだった。だが、…だが、これはどう考えてもトリシャのことだろう。リゼンブールにトリシャは母しかいなかった。すくなくとも、エドワードの知る限り。

 それらのことがわかると、もう、居ても立ってもいられず、エドワードは弟が待つ宿屋に直行した。そうして、エカルラートのことを、それを隠そうとするヒューズ達について話し始めたわけなのだが…。
 弟は、エドワードほど食いつきがよくなかった。
 穏やかに本を読みながら、ふーん、とか、そう、とか適当に相槌を打ちながら話を聞いていたのである。
 そして、挙句の果てには。
「…それって、ボクが母さんのおなかにいた時の話でしょ?」
 何でもない事のようにさらりと、そう言うのだ。この弟は。
「へっ?!な、なに、おまえ知ってんの?!」
 唖然と目を見開く兄に、アルフォンスは軽く頷いた。
「うん。だって、母さんが言ってたもん。ボクがおなかにいて、生まれる…一ヶ月前だったか二ヶ月前だったか?なんかその人が来て、さらわれそうになったのよ〜、って」
「…なったのよ〜、って…」
 あまりにのんきないいように、エドワードはがっくり肩を落とした。
 …なんだかものすごく、生前の母の、あの天然ぷりを思い出してしまったのだ。
「怖くなかったのって聞いたら、面白かったわ〜、って言ってたよ」
「………。…ちょっと待てよ、何でオレが憶えてないのにおまえが知ってるんだ?」
「えー?そんなこと言われても…、…ああ、わかった。ほら、兄さんが川に落っこちて熱出して死に掛けたことあったでしょ、あの時だよ」
「…………」
 基本的にやんちゃな悪戯坊主であったエドワードは、その手の事件をいくつ起こしてきたか知れない。なんだか肩身の狭い思いで、少年は目をそらした。
「…。まあ、なんで中佐や大佐がエカルラート?その人のこと隠そうとするのかはよくわかんないけど、…まずいっていうなら、とりあえずやっぱり聞かなかったことにするのがいいんじゃないの?」
 非常に日和見な弟の発言に、不自然に泳いでいたエドワードの目が慌てて鎧の方へ向く。
「…おまえ、」
「ああ、勘違いしないでね。ボクは中立だから。それに、無気力になってるわけでもないよ。…単に、その人のこと調べても、あんまり今のボクらの役にはたたなそうだからさ」
 だから詮索するだけ無駄かなって、とのんびりアルフォンスは言った。
 …たいへんしっかりした弟を持って、もうなんだか立場のないエドワードである。
「…でもさ、兄さん?」
「あん?」
「その通りだと思うでしょ?兄さんだって」
「…あぁ、まあ…」
 確かに弟の言う通りではある。エカルラートについて調べたところで、賢者の石に関する情報が手に入るとは思えない。いくらなんでも、色だけで結びつけるわけにも行かないだろう。
「じゃあ、なんでそんなにエカルラートについてむきになってるのさ」
 おっとりとした口調で尋ねられて初めて、エドワードは自分がむきになっていたことに気付いたのであった。
作品名:Ecarlate 作家名:スサ