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ジャイアントほむ~散りゆくは美しきQBの夢

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 ついにまどかは、倒れ伏したほむらまであと50メートルの位置にまで近づいた。

 だが、突如大地が割れて、今まで潜んでいた使い魔が姿を現した。

「かかったね、これで最後だ」

 キュウべえが勝利を確信して高笑いをした。

「しまった、間に合わん!」

 触手を切り伏せて、さやかはまどかに近づこうとするが、距離が離れすぎている。

「邪魔だ! まどかをやらせるわけには!」

 だが音速を超える剣の投擲を行おうにも、剣は触手にくい込んでいる。
間に合わない!

 触手がまどかをとらえ、まどかがキュウべえの手に落ちる。すべてを覚悟したまどかは目を閉じてしゃがみ込んだ。
だが、なにも起こらなかった。

 まどかはふるえる手を堅く握りながら、うっすらと目を開けて身を起こした。

 瞼を開いた先には、まどかの見知った顔があった。

「へへっ、言っただろう? 付いていこうかって?」

「お、お母さん」

 使い魔の攻撃を背中に受けてまでも、まどかをかばおうとする母の姿がそこにあった。

「私のことは気にするな、行ってこい! 友が待っているぜ!」

「はい!」

 立ち上がったまどかが詢子の横を通り過ぎる。

 それと同時に、追いついたさやかが詢子に襲いかかった使い魔を切り伏せて詢子を支えた。

 まどかの肩を強くて温かい手が押す。その温かい手には生命の血潮にまみれていた。

 触手を切り伏せて追いついたさやかもまどかの肩を押した。

 まどかは振り向かず、唇をかみしめて、懸命に走り出していく。肩に付いた赤い手形を背負って。

 ゴールは、いやまどかのスタートラインは目前だ。

「そうだ、それでいい。まどか、おまえは一人じゃない。」

 力強く言い放った詢子にさやかが続く。

「みんなと一緒に」

 まどかも続けた。

「みんなと一緒に、戦うんだぁぁ!」

 まどかは倒れたほむらの前に身を投げ出した。

「ほむらちゃぁぁん!」

「まどかぁぁ!」

 傷つき、倒れていたほむらが足の痛みを押さえ、半身を起こした。そのほむらの頬を、まどかの拳がとらえた。

「まどか・・・」

 頬を押さえて、信じられない目でほむらはまどかを見つめた。

「心配かけた分、これで許してあげる。続きは、無事に帰ってきてからね」

 不敵に笑いかけるまどかの顔を見て、ほむらもほほえんだ。 

 ガレキにつぶされたほむらの右足を支えるように、まどかはリボンをほどき、自分の左足とほむらの右足をくくりつけた。残ったもう一本のリボンで、まどかとほむらの体を結びつける。

「さぁ、一緒に立とう!戦おう!!」

 まどかの叫びとともに、暗い色で濁りかけていたほむらのソウルジェムがまぶしいほどに光輝く。絶望はない、今ここにあるのは絶望に立ち向かう希望の光のみ。

 魂は今日を信じる心がある限り、無限に光輝く!

 ほむらは左足に力を込め、懸命に立ち上がる。まどかとほむらが一緒に立ち上がる姿を見て、さやかと詢子が凱歌を上げた。

「えい、えい、おぉぉぉ!」

 二人だけの凱歌であったが、感情を持たないキュウべえをいらつかせるには十分であった。

「ええい、うるさい奴らめが。なにも状況は変わってないのに、僕にはまったくわからないよ。ん?」

 ほむらとまどかが魔力で作った足場からワルプルギスの夜に飛びかかる。
ほむらが掲げた左手の盾をかざしながら。

「なるほど、左手の盾にすべての魔力を込めてフィールドを作り、ワルプルギスの夜のエネルギーフィールドを乗り越えるつもりか。ようやく微力な物理的火力だけではかなわないと学習したか。ならば最後はフィールドの力比べだ」

 ワルプルギスの夜を包みこんでいた不可視のフィールドが増大した。今までのほむらの攻撃が無効化されていたのは、この魔力で強化されたフィールドによるものだった。つまりこのフィールドを上回るにはそれを越える純粋な魔力が必要だった。

 ほむらはそれを理解し、左手に備わった盾にすべての魔力を込めてフィールドを突破するつもりだった。

 ほむらが一人きりならば、その考えを思いついても実行はしなかったろう。

 だが、今は彼女は一人ではない、傍らにはともに戦う仲間がいるのだ。

 そしてほむらの戦いを必死に支えてくれたさやかや杏子、まどかの母、皆がほむらを応援してくれている。
思えばほむらは今まで一人きりで戦い続けていた。そしてワルプルギスの夜に負け続けていた。それはこのフィールドの存在に気付かなかったことが大きかったが、皆が力を貸してくれなければ、ここまではたどり着けなかった。
人を信じる心を失い、たった一人で孤独を囲い続けたことが敗北を味わい続けた本当の理由なのか、ほむらは一人、そう感じていた。

「な、なんというエネルギーフィールドだ。いままでほむらの攻撃が通じなかった理由ががわかった。あのフィールドの中に潜り込まなければ、攻撃は通用しないんだ」

 さやかも今までワルプルギスにほむらの攻撃が通用しなかった理由に気付いた。

「そうさ」

 さやかが振り向くと、そこにはロッキーを口にくわえたさやかが立っていた。無手で触手と戦い続けていたため、その衣装もボロボロで立っているのもやっとの様子だった。

「すまない、さっきの攻撃でずいぶん遠くへ飛ばされて、えらくこいつを捜すのに手間取っててね。へへ、食うかい?」
口にくわえたロッキーを見せつけて、杏子は箱に入ったロッキーをさやかに指しだした

「杏子・・・」

 よろめいた杏子にさやかが肩を貸す。もう二人とも魔力は残ってはいない。

「さぁ、今こそここが、正念場!」

 さやかは杏子がくわえたロッキーを正面からかじり、半分に追ってくわえた。

「な!」

「いや、ロッキーゲーム、してほしそうな顔をしていたから」

「そうかぁ、最近の学校では女同士が流行っているのか。まどかは大丈夫だろうな」
詢子が二人の様子を見てつぶやいた。

「まどかはあたしの嫁だよ」

「さやかは黙れ!話がややこしくなる」

 二人にできることは、まどかたちが勝利をつかむよう、祈るだけだった。だが、詢子の言葉で明るい空気が周囲に生まれた。

 後は信じるだけ。三人はまどか達の雄志を見届けようとしていた。

「ひるむなほむ、一歩でもひるんだら二度とあいつに近づけなくなる。なんとか、フィールドを越えるまでほむの盾を持たせるんだ。これが最後のチャンスなんだぁ」

 だが、エネルギーフィールドとほむらの魔力の差は明らかだった。

 魔力を込めてぶつかり続けたほむらたちが、ワルプルギスの夜にエネルギー負けをして吹き飛ばされた。

「まどかぁ!」

 魔法少女二人と詢子が叫んだ。

「ほむら、君はこの場所から消えてなくなれ! そしてあとでまどかと契約するとしよう はっはっはっは! なるほど、ポーズとはいえ、これは気持ちがいいものだな」

 勝利を確信したキュウべえが笑いの感情の真似をした。

「笑うな!」

 中空から突如現れたマスケット銃が放った一発の銃弾が、ワルプルギスの夜のフィールドを越えて本体に突き刺さった。

「こ、この銃撃波は!!」