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ジャイアントほむ~散りゆくは美しきQBの夢

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 それはまどかがよく知っているマスケット銃だった。

「ま、まさか、ありえないよ!」

「そのまさかよ」

「なにぃ!」

 驚愕のうめきをあげるキュウべえを後目に、大地を黄色のドリルが突き破り、ドリルに見えたリボンの中からまどかやキュウべえがよく知っている顔が現れた。 

「よくぞ生きていた! 銃撃の巴マミ!!」

 ほむらが叫んだ。

 そこにいたのは、先のシャルロットとの戦いで死んだと思われていた巴マミだった。彼女の首や顔、体には包帯が巻かれ、所々血がにじみ切れ端が宙に浮かんでいる。相変わらず形から入る人だった。

「よく聞け、キュウべえ! 病院に刺さっていた不自然なグリフシードの報告を受けたとき、私はあなたの関与を疑った。そしてシャルロッテにやられたふりをするという恥知らずな真似までしたのは、この機会を待っていたからよ!」

 巴マミはグリフシードの連絡を受けたときに、違和感を感じた。それは歴戦の戦士が洗浄で培った勘といえた。

 病院の戦いの前の夜、ほむらと出会った巴マミは、まどかを必死で魔法少女にさせようとしない態度に違和感を感じた。

 一時はいじめられっこの発想と自分で言ったが、”なぜそう思ったのか”、自分でも説明が付かなかった。

 そしてその日の夜、巴マミは夢を見た。

 美樹さやかが魔女になり、その事実を知った自分が佐倉杏子を殺し、暁美ほむらを殺そうとして、鹿目まどかに殺された夢だった。

 夢というには余りにリアルすぎた。だがそれ以上に、”なぜ自分は出会ったこともない佐倉杏子を知っていた?”

 もし今まで自分と一緒に長い時間を過ごしてきたキュウべえが、”違うもの”だったとしたら?

 疑問は疑惑へと変わり、巴マミは一つの選択をすることにした。

 この戦いから一度身を引き、キュウべえの行動を見届ける。

 そして夢で見たソウルジェムが本体という仮説を試してみる。

 二つの実験を戦場で行うことはかなりの危険を意味した。だがマミの胸中に巣食った疑惑は、長年の戦いの中で生じていたかすかな疑問への答えとしては十分すぎた。

 魔女を倒した後のグリフシードを旨そうに食らうキュウべえ。

 魔法少女が願いをかなえるのならば、なぜほかの魔法少女に出会う確率が低い?

 もし、魔女が魔法少女のなれの果てだとしたら、全てがつながる。その仮説は巴マミにはとてもショックが大きいものだった。だが、一人の少女を魔法少女の道に誘おうとしていた巴マミにとって、それは看過できない仮説だった。

 また鹿目まどかと必死に契約を結びたがるキュウべえの姿勢にも疑問を抱いた。

 そしてキュウべえがまどかとさやかを分断させて、さやかだけを結界に入れるという危険な目に遭わせてまで、まどかとマミを二人きりにさせた理由を考えているときに、マミはまどかを魔法少女にさせようとしないほむらと出会ったことで一つの結論を出した。

 鹿目まどかをどうしても魔法少女にしたいなら、鹿目まどかを私にあこがれさせればいい。キュウべえが手を下すことはない。

 そしてもし、私が倒されでもしたら?

 そう考えた巴マミは、なぜかマミの戦う敵までも知っているかのような口振りだったほむらの言葉に意味を見いだそうとしていた。

 なぜ生まれたばかりの魔女の正体や戦い方を知っている? もしこの少女が別の未来を見ていたならば。

 あとは不確定要素を排除するため、一時的にほむらの動きを封じ、魔女と私が一対一で対峙すればいい。

 そして私が一度死に、後の様子を見届けていれば、真意はつかめる。

「どうするキュウべえ! 巴マミは事の真相を知らんぞ! それともこれも計算のうちか! マミは死ぬ気だぞ!」

「真相は全て知っているわ! ソウルジェムと魔女の関係もね!」

 ほむらの言葉にいちいちマミが噛みつく。

「フン、たかが魔法少女一人増えたところでこのフィールドが」

「うるさい! 巴マミを! 魔法少女をなめるなぁ!」

 全ての魔力を振り絞り、さやかの時を遙かに越える数のマスケット銃がワルプルギスの夜全体を包み込んだ。

「バ、バカな、魔力が、エネルギーが、ワルプルギスの夜のフィールドを浸食していく!」

 ワルプルギスの夜を包囲したマスケット銃が巨大な大砲に変わり、全てがティロフィナーレを連続で打ち出していく。

 そのエネルギー総量は明らかに魔法少女一人の限界を超えていた。

 次第に巴マミの体がひび割れていく。だが、かまわずにマミは語りかけた。

「いいか、ほむ。私はお前に加担するのでもなければ、馴れ合うわけでもない。だが、これだけははっきりわかっているわ! 世界の運命は、こんな化け物などに好きにさせるようなものではない! 全ては私たち魔法少女と人間の手で成し遂げて行くものよ! 違うか! 違うか! 違うかぁ! ねぇ、まどか・・・・・・」

 限界を超えて全ての魔力を放出しきった巴マミの体全てに亀裂が走った。巴マミは笑みを浮かべた後、一瞬にして崩れさった。ワルプルギスの夜のエネルギーフィールドの崩壊とともに。

 後に残されたのは、マミが被っていた帽子だけだった。風が吹き、その帽子さえも吹き飛んでいき、崩れさった。

「あ・・・」

 吹き飛んだ帽子のかけらを掴もうとしたまどかはそれすらもかなわなくて、声を上げた。

「まどか・・・」

 顔を下に向けたまどかを気遣い、ほむらは声をかけた。

「撃て、ほむ!」

 顔を上げてまどかが叫ぶ。ほむらは盾の中から出した銃をまどかに手渡しつつ、自分の分のRPG7を矢継ぎ早に取り出しては撃っていく。

「や、やめろぉ!」

 だがエネルギーフィールドの解けたワルプルギスの夜への攻撃は止まらない。

 ほむらは盾の中にどう納めていたのかわからない、列車砲を取り出した。地面に向けて放出された列車砲は地響きを立てて、着地した。普通は射撃までに相当の時間を要する列車砲だが、魔力で中のサイクルを加速させていたらしく、着地の振動が収まらないうちに列車砲は発射された。

「や、やめろぉぉぉ!!」

 着弾とともに、ワルプルギスの夜の腰(?)の歯車は砕け散り、体が上下に引きちぎられた。

「や、やったのか、さやか!」

 後に残ったのは、ワルプルギスの夜の残骸の上に這いだしたキュウべえだけだった。もうワルプルギスの夜に生存反応はない。

「後はまどか、あなたに任せたわ」

 ほむらが魔力を使い果たし、その場にへたりこんだ。

「ほむ!」

「ぼやぼやするな、目的を果たすのよ、早く!」

 ほむらがまどかを急かす。

 はたしてまどかの目的とは!?

「なぜだ、なぜ邪魔をする。皆で寄ってたかって・・・。後少しでボクの目的が、後少しでエネルギーの収集が・」

「もう、そんなのはどうでもいいじゃない! キュウべえ!」

「もうやめよう。こんな事は。そしてもうキュウべえは自分の星へ帰って」

「ま、まどか・・・。そうだ、」