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【かいねこ】海鳴り

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「カイトー!」

賑やかな声と共に、主人の子供達が足下にまとわりついてきた。

「ほらほら、危ないですよ。しっかり立って」

手を伸ばすと、二人は腕にしがみついて、

「カイト、お話して!」
「大蛇のお話して!」
「その前に、ちゃんと書き取りは終わらせましたか?」

俺の言葉に顔を見合わせた二人は、するりと身をかわし、

「カイトのけちー!」
「意地悪ー!」

口々に叫んで、バラバラの方角に逃げて行く。


ああもう、また投げ出してきたのか。


「こら、待ちなさい!」

追いかけると、子供達はきゃーきゃーと声を上げて走り回った。




何とか二人を捕まえると、両側に抱えあげて部屋に連れ戻す。

「旦那様がお帰りになる前に、終わらせる約束でしょう?駄目ですよ、放り出しては」

二人を畳の上に降ろすも、まとわりついてきて、

「ねーねー、今年のお祭りでは、イケニエを出すの?」
「タツミコ様が選ぶの?誰が選ばれるの?」
「えっ」

ぎょっとして、言葉に詰まった。
年に一度行われる、大蛇の魂を鎮める為の祭りが近づいている。
いつも通りなら、それは村人達にとって最大の娯楽となるのだが。

「まだ何も決まっておりませんよ。龍神子様のお言葉を待ちましょう」
「タツミコ様にお仕えしてる人形から選ぶって、本当?」
「選ばれたイケニエは、大蛇に殺されちゃうんでしょう?」
「カイトは?カイトは選ばれたりしない?」
「本当に人形から選ぶの?私達じゃなくて?」

口々に騒ぐ二人を抱き寄せ、背中を撫でた。

「大丈夫ですよ。選ばれるのは、龍神子様に仕える人形・・・・・・女の人形だけですから」


作品名:【かいねこ】海鳴り 作家名:シャオ