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サイケデリックドリームス

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「あんな奴の言葉なんて聞く必要ないよ。……結局君を傷付けるだけだった。何も変わっちゃいない…」

「サイケさん…?」

彼の放った言葉の意味が分からずに首を傾げる僕を、彼はきつくきつく抱き締めた。
けれどその力強さに今までとは違って何故か身の危険を感じて、相手はサイケさんなのに、脳はこれが危険だと訴えてくる。

「帝人君は、まだあいつ…臨也君が好きなの?」

「っ、」

「何で? 何であんな奴…っ、俺だって君が好きなのに…こんなに好きなのに、何で…!」

骨が軋む程の腕の強さが苦しくて、初めて彼の腕の中で本気で抵抗した。
でもどんなに暴れようとしたって僕の力ではそれに敵わなくて、どうする事も出来ない。

「サイケさ、苦し…っ」

「…君には俺が居るんだから、臨也君はもういらないよね」

ひやりと頬に触れる、サイケさんの手のひら。
初めて出逢った時にはあんなに安心出来たそれが今はただ恐ろしいものに感じられてしまって、そう感じてしまう自分が悲しくて、だから、逃げる事が出来なかったのだ。

「俺が、君を幸せにしてあげる」

噛み付くように奪われる唇。
深く、深く差し入れられた舌は僕の口内を蹂躙していって呼吸が苦しくなる。

(……ヤバ、意識が…)

そうして次に襲って来たのは強烈な睡魔だった。
それは一気に脳へ浸透していって足掻く事を許さない。
途切れ途切れの意識の中、僕の視界に最後に映ったのは、サイケさんの泣きそうに歪んだ顔だった。