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僕がきみの手を5題(銀魂NL)

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2.誰にも渡したくなかったからで、(沖神)

彼女はいつも傘をさしている。雨の日はもちろん、晴れの日も、曇りの日も、毎日。

「なぁ、傘が邪魔だと思ったことはねーの?」
「別にないネ。生まれた時からずっとこうだったから、何の違和感もなかったアル。」

そういうと傘をくるくると回し、一歩前に出た。

「たしかにみんなみたいに海で泳いだり思いっきり太陽の光を浴びることは出来ないヨ。でも、私はこの街で、この傘と、銀ちゃんたちと生きていくアル。」
「へェ、旦那たちと…ねェ…。」

何故かイラッとして、視線を彼女と反対の方向へと向ける。

「なに拗ねてるアルか。」
「別に拗ねてなんかねーし。」

彼女はきっと、あの白髪の旦那仕込みの、ニヤニヤという品のない笑みを浮かべているに違いない。こんな些細なことにも旦那の影を感じて、またなんとも言えない気持ちになる。

「仕方がない奴ネ。」

そう言うと彼女はぴょんと跳ねて俺の隣に移動し、その右手で俺の左手をすくった。

「安心するヨロシ。私はお前と過ごす時間も楽しく思ってるアル。」

なんとなくまだモヤモヤとした気持ちはぬぐいきれないが、その分強めにその日に焼けてない手を握り返してみた。


【終】

―――――――――――
口調が迷子である。

2011.8.11