海賊と軍部
・昴流と星史郎君・
昴流の白い軍服が赤く染まっているのを見て、星史郎は眉をしかめる。
あの男はわざとそれをつけたのだ。
昴流を切り付けた、その刹那星史郎を見て笑ったのだから。
歪んだ独占欲まで同じなのかと舌打ちしたくなる。
あの男はどうしてだか知らないが星史郎にそっくりだ。
外見はどうでもいい。
けれど面倒なことに昴流に対する執着が共通している。
左肩から右脇までばっさり切り捨てた傷跡が、あの男の執着を物語っている。
殺すことだってできただろうに、それをせず自分のものであるという跡をつけたのだ。
全く、忌ま忌ましいほど似ている。
ただ、星史郎はこの綺麗な人に傷が残るのが嫌で踏みこみ切れなかっただけで、きっといつかはしていた。
そうとも知らず、この綺麗な人は微笑みかけてくる。
あの男がつけた傷は許せないけれど、こうやって側にいるのは星史郎の方だから、今はまだ、いい。
星史郎は甘えるように昴流の唇を吸うと微笑み返す。
「もう誰にも傷つけられないでくださいね」
貴方は僕のものになるんですから。