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それは永遠に秘密です。〈それはあなたの忘れ物。UP!〉

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翌日の夕方、あたしはゼルに連れられて、ガウリイが治療を受けている病院まで足を運んだ。
病室に入ると、真っ白いシーツの上に彼が座ってこちらを見ていたわ。
その様子を見て、私は足がすくんだ。
彼の顔は焼けただれているらしく、白い包帯が彼の頭を何重にも巻いてあった。
長い金髪だけが、そのシーツへとさらりと落ちていた。
唇も焼けただれ、上唇と下唇がくっつかない有様だった。
それは、男性でも・・・あまりにも酷という有様だったのよ。
しかし、その包帯の隙間から覗くあの澄んだ空色の優しげな瞳は変わらなかった。
「ガウリイ・・・」
あたしは、自分の両手を胸に当てた。
「リナ・・・俺は・・・
 お前を愛している。」
がちゃり・・・
後ろで、ゼルが出て行き、扉が閉まる音がした。
心優しい妹の恋人は気を利かせて、あたしたちを二人きりにしてくれたのだ。

「すまなかった・・・。
 俺は・・・なんてお前に言ってよいか・・・。
 でも、本当にお前のことを愛していたんだ。」
ガウリイは、そう噛み締めるように話した。
その空色の双眸が揺れていることにあたしも気がついた。
その声は。心の奥底から搾り出していることも・・・理解できた。
もちろん。彼が嘘をついているわけはない。
この思いは真実。
あたしは、その言葉に涙を浮かべ、そして手を握り締めた。

ただ。
ただ・・・

あたしは、静かに彼のベッドに近寄った。
彼の長い手があたしの片手を取った。
「いいの・・・
 もう、いいの。」
そう言って首を振り、あたしは、彼のベッドに座った。
あたしは目を閉じ、彼のその焼け爛れた唇にそっとキスを落とした。

これが最後のキス。
これでお別れ・・・。

彼の瞳からたくさんの涙が流れ出してくるのをあたしは感じた。
彼の唇が震えていた。

唇が離れると、あたしはそのまま彼に背を向けて走り去ってしまった。
ガウリイは走り去るあたしを呼び止めなかった。
病室から出てきたあたしに、ゼルからは呼び止められたが、その呼びかけにも振り返りはしなかった。

若いあたしは、すべてが許せなかった。

あたしは、彼の顔に硫酸をかけた婚約者を恨んだ。
この恨みきれないほどの思いが、あなたにわかる?
と、同時に、あたしというものがありながら、婚約者とも同時進行続けていた彼をも恨んだ。
なぜ、あたしと結婚をすると言いながら、一方で、あたしが顔も知らない婚約者と会うことができたのか?
あたしはもう誰も信じられないと思った。