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past 後編

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以前、テロリスト達が隠れ家として使用していた廃屋。
そこにエドワードの姿があった。
右手には拳銃。左手には写真。
後ろにはグレイシア、ハボック、そしてアームストロングも居た。

今日は作戦決行の日。


事前にロイには手紙が送られた。



ロイ・マスタング殿

××月××日、21時
ここで待つ。


鋼の錬金術師
エドワード・エルリック



「大佐、このような手紙が。」

「何だ。」

「いかがなさいますか?」

「決まっているだろう。
・・・・鋼、か、笑わせてくれる。」



手紙を受け取ったロイの顔は恐ろしいものだった。
ロイの復讐の炎を止められる者は居なかった。


「鋼・・・・・・」




リザは止められない上司の暴走に心を痛めていた。

マース・ヒューズの死を聞いたロイは見てはいられなかった。
でも、心のどこかで大丈夫だという気がした。

なんとかなる。
この暴走は止められる。


だが、その時はいつまでたってもこなかった。
リザは徐々に不安になっていった。

どうして止められるなどと思ったのか、
復讐の道を迷わずに進み続けるロイを止められない。


私だけでは止められない―――

誰か―――

誰か?


誰に助けを求めれば良いのか分からなかった。
だが、誰かが居た気がしたのだ。
こんなときには必ず『なんとかする』と言ってくれる誰かが――


ロイは気にするなといっていたが、リザはエリシアの話を聞き流せなかった。
口や表情には出さないがずっと心にひっかかっているのだ。
懐かしそうなエリシアの表情は決して嘘では無いと語っている。
そして、泣きながら会ったことがないはずのエドワードを庇う。


間違っているのは一体誰?



アームストロングが裏切った。
命令を無視し、守り、逃がした。
それがどういうことを意味しているか、それはアームストロング自身分かっていたはずだ。
己が正しいと思うことをしているはずなのに、リザの胸は苦しくなる一方だった。


リザはエドワードを撃った時のことが忘れられなかった。
今までも多くの人を撃って来た。
だが、エドワードの時はどうしてか手が震えた。
銃口を向けると傷ついたような顔をした。
そして打ち抜くととても悲しい顔をした。

傷の痛みで苦しむ顔ではなかった。
まるで心が痛い・・・泣きそうな顔だった。

二度目の時は、ただ逃がしてはいけないと思っていた。
捕まえて、話がしたかった。
だから、足を撃ち抜いた。

エドワードは初めのような顔はしなかった。
ただ真っ直ぐに見つめてきた。
仕方ない。大丈夫。心配いらない。
そんな言葉が聞こえるようだった。

リザの心は痛みを訴えていた。
それが伝わってしまったのかもしれない。


でも、なぜ?


心がざわついた。




どうして撃ったりしたの?

せっかく―――

やっと―――



せっかく?やっと?
一体なんのことなの・・・



エドワードからの手紙が届いた時、リザは決意した。
この日に全てを終わらせよう、と。

最悪の結果だけは避ける。
殺させない。
彼を。


決着をつける。
真実を――――



20時、ロイの指示で車を発進させる。
後部座席に座るロイの顔には笑みが浮かんでいた。
リザはその笑顔に不安を覚える。

止められる自信はある。
だが、どうにも嫌な予感がする。





暗闇の中、
何かが蠢いていた。



作品名:past 後編 作家名:おこた