past 後編
大佐、あんたに始めて会ったときはまだあんたは中佐だった。
それに出会いは最悪だった。
俺たち兄弟は死んだ母親を練成しようとした。
もちろん失敗に終わったけどな。
弟は体を無くし、俺は右腕と左脚を失った。
そんな時だった絶望の中であんたは光をくれた。
そして俺は国家錬金術師になった。
二つ名は『鋼』。腕と足が機会鎧の俺にはピッタリだった。
俺たちは体を取り戻すために旅に出たんだ。
色んなことが起こって、色んなことを知った。
俺たちに協力したヒューズ中佐が殺された。
だから、俺が殺したといわれても仕方ないと思ってる。
でも、犯人は他に居る。
大佐は今俺に向けているような目で犯人を探していた。
でも、今と違うのは大佐は殺さなかった。
自分の復讐心に勝ったんだ。
全ての戦いが終わって、
俺たちは体を取り戻すために故郷に帰った。
そして、体を取り戻した。
だけど、歴史を歪めた。
皆の記憶から俺たちが消えた。
そしてあの戦いで死んだ人達は、俺たちが殺したことになってた。
俺は皆との記憶を、諦められなかった。
どうしても諦められなかったからここに来た。
エリシアが覚えていてくれた。
グレイシアさんが信じてくれた。
少佐が信じてくれた。
少尉が思い出してくれた。
諦めずにここに来て良かったよ。
可能性を見つけられたから。
俺たちが生きてきた過去は確かに存在する。
大佐、思い出してくれ。
お願いだ。