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Kid the phantom thief 前編

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パタリとドアを閉める。
1階へ行くと、ソファに博士が座っていた。


「もう大丈夫なようじゃな?」

「あぁ、」

「哀くんは?」

「カルテまとめるって。」

「そうか。お茶でも飲んでいくか?」

「・・・そうする。」


博士があったかい紅茶を入れてくれた。
紅茶の良い香りが辺りを包む。


「なぁ、博士はどうしてすぐに許してくれたんだ?」


打ち明けたとき、あの衣装を手に取ったとき、灰原はひどく反対した。
今でもかなり反対していることに変わりはないが、
だが、博士はすぐに協力しようと言ってくれたのだ。

キッドになると決めたはいいが、それは自分一人ではどうすることもできない。
マジックの知識なんて0だ。そのため、博士の作る道具が必要不可欠だった。
だからと言って簡単にはいかないだろうと思った。

愛情込めて作る発明品を犯罪に使うのだから。


「止める人がいっぱい居るからじゃ。」

「・・・ぇ?」

「『止める人』は沢山居る。
だからわしは『止めない人』になっただけじゃよ。」

「・・・・。」

「体は大事にするんじゃぞ。」


「博士・・・・ありがとう。」



ところで新しい道具が閃いたんじゃが・・・
なんて、いつもの調子で始まってしまった。

博士の作る道具はいつも俺を助けてくれる。
本当に凄い道具ばっかりだよ。



ありがとう。



あの衣装を身に纏うと俺の心が憎しみに支配される。
宝石を翳す瞬間、俺はその憎しみに満ちた瞳で探す。

キッドを殺した奴等を――

いつか必ず現れるはずだから、
俺が偽者だと分かっているとしても、絶対に。
俺はその瞬間を獲物を狩るときのようにじっと堪えてチャンスを待つ。

まるで俺の憎しみの色に染まったかのような黒い衣装。
だけど、俺の瞳には真っ白な純白の衣装に映るんだ。

でも、俺が袖を通すと真っ黒くなる。
袖から出てきた自分の手が真っ赤に染まって見える。

鏡に映る自分が時々恐ろしい。

それでも、博士や灰原が傍に居てくれて・・


俺はここに立って居られる。



怪我をしたとき灰原が巻いてくれた包帯に触れると温かい。
博士が作ってくれた道具に触れると温かい。


そんな時、触れている手が真っ白に見える。
黒い手袋をしているのに、真っ白になる。



「あら、まだ居たの?」

「灰原見ろっっ!!!」

「ナニソレ・・・」

「自動花びら撒き機ベルト型。」

「ダサい。」



「・・・・・博士、これボツ。」


「何じゃとっっ!?」





俺の黒を浄化するように――


作品名:Kid the phantom thief 前編 作家名:おこた