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Family complex -少し未来のはなし-

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PM2:45
「すまん!遅れてもうた!」
本田家の玄関にそういってアントーニョが現れたのは、フランシスに電話をしてから一時間ほど経った頃だった。台所から顔を出したギルベルトが、思わず声を荒げる。
「てめ、何時間経ってると…」
「悪い悪い、ムール貝がなくてなー。近所のスーパーじゃ良いのが売ってへんかったから、3軒くらいハシゴしてきてん」
それにしても遅いだろう、とギルベルトは思ったが言わないでおいた。正直、言い合いをする時間も惜しい。
「で、どこまで進んでるねん?」
「もう煮込みに入れる」
ガス台の前に戻りながらギルベルトが言うと、台所に入ってきたアントーニョは食卓の上に袋を置いた。そして、「じゃあ、俺はパエリアに取りかかればええの?」と聞きながらスーパーの袋から材料を取り出している。
「おう。俺はその間に飾り付けしてるから、鍋見ててくれ。噴きこぼれないように」
「りょーかい」


PM4:50
「兄さん、ケーキできたぞ!」
子供とフランシスで菊の家の玄関を開け、玄関口でルートヴィッヒが呼ぶと、「おー」というギルベルトの声が聞こえる。居間にいるらしい。
「お、早いやん。冷蔵庫に入れとくか?」
それを聞きつけたらしいアントーニョが、台所から顔を出した。
「そうだな、そうした方がいい」
「うん」
フランシスが頷いて、ルートヴィッヒが箱を台所へ持って行く。
「俺、今から買い出し行って来るよ。他に何か必要な物は?」
「俺は何もないなあ。ギル!何か必要なもんはあるかって!」
アントーニョが居間へ聞こえるように言うと、ギルベルトも同じように居間から声を張り上げた。
「電話で言ったやつ以外はねーよ!」
「あいよ。んじゃ行ってくるわ」
「兄ちゃん、行ってらっしゃい」
「気をつけてな」
アントーニョの隣りで、フェリシアーノも手を振る。
「先生もエプロンするんだ!」
フランシスが玄関から出て行き、戸が閉まると、横のフェリシアーノがそう言って見上げてきたのでアントーニョはへらりと笑って胸を張る。
「もちろん!今は料理ができて、エプロンの似合う男がモテるんやでー」
「似合ってねーよバーカ!」
隣りにいたロヴィーノがアントーニョの向こう脛を蹴った。「いったあ!」と声を上げる彼に、舌を出したロヴィーノは居間へと逃げる。
「何するんロヴィーノ!痛いやろ!」という声を無視して居間に入ると、中央に座り込んだギルベルトが折り紙を使って何か作っているところだった。
「…なんだこれ」
ギルベルトは細く切った折り紙で丸を作り、それを繋げているところだった。その周りには薄い紙で作った花がたくさん転がっている。
「お、フェリちゃんの兄貴じゃん。丁度いいところにきたな、手伝え!」
「折り紙の輪っかに紙の花かよ、古いな、いつの時代だよ」
ロヴィーノがそう言うと、ギルベルトは弾かれたように立ち上がりかける。
「なっ…!何だとこのクソガキ、俺様の飾り付けにケチつける気か!」
「おい、何やってるんだ二人共」
居間を覗き込んだルートヴィッヒが声を掛けたところで、台所からアントーニョがギルベルトを呼んだ。
「ギル!鍋ふきこぼれてんで!」
「マジかよ!」
ギルベルトは、折り紙を放り出して慌てて台所へ走っていった。