一方通行
Rrrrrr....
「hello,イギリスかい?
こんな休日の真昼間から俺に電話をかけてくるなんて何の用だい?
もしかして一人ぼっちが寂しくて誰でもいいから話したかったとかかい?
話す人なら君の近くに浮いてるんだろう?」
「そんな理由で電話するか馬鹿。
用があるに決まってんだろ。
つーか、お前は暇してねえのか?」
「当たり前じゃないか!
俺は世界のヒーローなんだぞ!」
「え、じゃあまさか立てこもりの自殺志願者諭したり、誘拐犯のアジトに突入して人質を回収したりしてんのか?
すげえ働き者じゃねえか。」
「ちがうぞ!確かにそれもヒーローっぽいけど、もっとヒーローっぽく超人オクトパッソマンをレーザービームで撃ち落とす簡単な仕事さ!」
「・・・ゲームじゃねぇか!!お前も暇してることを素直に認めやがれ!」
「『も』ってことは君も暇なんだな。」
「う、うるせー。」
「で、用件は何なんだい?
つまらない事だったら即刻電話切るからさっさと話してくれないかい?
もうすぐボス戦だから早くしてほしいんだぞ。」
「俺よりやっぱりゲームの方が優先順位高いんだな・・・
まぁ、わかってたことだが・・」
「何をぶつぶつ言ってるんだい?」
「いや、何でもねえ。
用ってのは残念ながら仕事のことなんだが。」
「今度の会議のことかい。
多分、場所が決まったとかそんなとこだろ?
いちいち電話する必要がないんじゃないかい?
場所はあとでメールしてくれよ。
文面の方が分かりやすいしな。」
「まあ、それだけじゃないんだ。
個人的に話したいことがあってな。
どうせ明日も暇なんだろ?」
「・・・・わかった。
ただ、俺は明後日から仕事入ってるからそっちに飛ぶ時間ないから君の方から来てくれよ?」
「ああ。構わねえよ。
空港の到着ロビーにでもいてくれ。探すから。」
「君にしてはずいぶん率直だし気前がいいじゃないか。
何かいいことでもあったのかい?」
「いや、特にねえよ。
疑り深いことはいいとは思うが、あんまり疑心暗鬼になっても信用されなくなるぞ。」
「君には言われたくないね。」
「うっせぇ馬鹿」
ガチャ。つーつーつー・・・