一方通行
そうは言っても簡単にそんなことはできるはずがない。
あれほど心的外傷が強いのだから、克服するのは相当労力のいる仕事だろう。
独立は寛容しなければならなかったし、それはできた。
だが許すとなると話は別で、俺の心の奥に居座っている彼奴への執着心を説き伏せなければならない。
今までそんなことやってみようだなんて思わなかったから、どれだけ難しいかもわからない。
ゲームで例えるなら暗中模索でラスボス戦に挑むようなもんだ。
ただゲームとは違い、やり直しがきくはずもない。
しかも何のアクションも存在しない大の男が悩んでる地味ここに極まった絵面だ。
とりあえずアフタヌーンティーを嗜む。
閃きでもないだろうか。
興奮作用のあるカフェインを大量摂取すると眠れなくなるらしいが、俺には縁がない。
どうせ眠れなくなるんだ、別にかまわないだろう。
先刻述べた俺の心内の葛藤が比較にもならない激しさを以って再開される。
ガタガタと揺れる。
中心に立つのは紛れもない、彼奴。
それに惑わされいつまでも決着がつかない。
不安定な、不用心な、そんな状態。
それを見越したように現実の俺の目前に認識ができる範囲で彼奴がいつもやってくる。
見越したようにGOODタイミングで、BADタイミングで。
勝敗の着きそうでつかない原因は勝負の原因でもある。
「永久に迷っていなよ」そう言われている気もしてくる。
残酷な俺の想い人。
自分の所以だとも知らずに。
無知というのは本当に酷なものだ。
俺にとっても、彼奴自身にとっても。