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金色の双璧 【連続モノ】

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 一方のシャカといえば。
 なんの構えもしていなかったムウに向かって、シャカが爆弾発言をしたために、ムウが噴出したお茶を顔面に受けるという惨事を被っていた。ムウはそんなシャカに気を使う余裕もなく、息も絶え絶えに盛大に咽ていた。
 秀麗な顔を僅かに引き攣らせたシャカに、ようやく息を整えたムウが慌てて拭き取りにかかりシャカは彼の為すまま、まるで御身拭いされている地蔵のようになっていた。
「・・・いや、本当にごめんなさい、悪かったですね、シャカ。でも・・・あんまり天地がひっくり返るようなことを言わないで欲しいです」
「そんなに・・・驚くようなことかね?」
「シオンが冥衣をつけて白羊宮に現れた時くらいには驚きました。君がそんな下世話なことを言うとは思わなかったから」
「そうだな。だが、こと下世話なことにかけては、君たちはシオン教皇を筆頭によく知っていると思うので相談に来たのだ」
「そうそう、シオンを筆頭にわたしたちは下世話・・・って、随分なことを言ってくれますね?」
 ムウは僅かに口元を引き攣らせながら、極力笑顔に努めていた。
「そんなことはどうでもいい。それで実際どうなのだ?最中に声を聞きたがる気持ちというのがよくわからない」
「そりゃ、だってあなた・・・男なんてみんなそんなもんでしょう?自分の手によって乱れる態は興奮を覚えますし、征服感が満たされますからね。それを如実に示す反応としてわかり易いのが『声』だったり、仕草だったり。求められれば、それだけ興奮しますし、快楽も強いものとなるでしょう?強いては愛情さえもね・・・ああ、なんだってこんな話を君としてるんでしょうか。私に聞かず、当人に聞けばいいものを・・・頭が痛くなってきた」
 虚しそうに天を仰ぎながら額に手を当てるムウにシャカはかまわず話を続ける。
「アレに聞くのは・・・なんとなく憚れる。意外にアレはわたしに対して気を使っているのでな。それに、征服される覚えはないし、別段、快楽に溺れる必要もないと思うのだが・・・」
「クソ坊主には一生わからないんじゃないんですか?まったく。中途半端に悟ってないで、ソッチ方面もきちんと悟っておけばいいものを」
 いい加減腹が立ってきたらしいムウはむっとしながら、言い返した。
「中途半端で悪かったな。それに坊主ではない。わたしは・・・」
「あぁ、はいはい。ご説明は結構ですから。坊主だったら、戒律犯すようなことなんてしないだろうし。でしょ?」
「うむ」
「ま、自然のままに任せればいいじゃないですか。気持ちがよければ自然に出るものだし・・・感じないわけじゃないのでしょう?」
「・・・うむ」
「どうせ、君のことだから、最中にも宇宙の真理だとか、ワケわかんないこと考えて・・・行為に没頭しないようにしてたんでしょ?」
「う・・うむ」
「流れるままに。与えられるままに。何も考えずただ相手を思い、身を委ねてみては?きっと新境地が開けますよ」
「・・・・・・・・」
 とうとう黙り込んで俯いてしまったシャカに「おや?」と訝しみながら、注意深く観察してみると、どうやらシャカは恥じ入っているのだと気付く。
 この男でも照れることなどあるのかと、新たな発見をしたムウは何となく嬉しく思いつつ、むくむくと悪戯心を湧かせていた。
「・・・・お茶、淹れなおしてきます」
「いや?まだ・・・残っているが?」
「いい品が入っていたのをね、思い出したんです。極上品なんですよ?シオンに頼まれていたんですけど、貴方にこそ飲んで貰ったほうがいいでしょう。お茶の味のわかる、貴方にね」
 にっこりと無害な笑みを浮かべるムウに「ふむ。」と頷いたシャカを満足そうにムウは眺めやるとすっと奥に姿を消したのだった。


作品名:金色の双璧 【連続モノ】 作家名:千珠