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機動戦士ガンダムワールドNG

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 戦闘開始前に俺が選択したミッション、20分でMS20体撃破。単純計算1分で1体以上を倒さないと間に合わない。その為索敵に時間を取られるのは勿体無いと少し焦りを覚えている。残り時間は正面モニタ上部に表示されており、最初は青色で表示されるが時間経過と共に徐々に赤に変わっていく。目に付く赤と言う色が俺を追い詰めてくるのだ。ミッションをクリアし制限時間が残っている場合は、時間切れまでまでプレイすることが可能。ミッションを失敗したとしても、撃破したMS数分の通常報酬は取得が出来るので、初心者でも安心して失敗できる。しかし注意しなければならない点があって、戦闘後の結果画面《リザルト》で使用した弾薬については全弾補充をしてくれるのだが、補充した弾薬の費用が報酬から天引きされてしまう。無駄に弾を撃ち過ぎると赤字になる可能性もある。


[ピッ]

[ピピピピッ]

 コックピット内に響くアラーム音。連続で鳴る音が、自機が敵機にロックオンされたことを俺に教えてくれる。

「いつの間に!?」

 ちょうど出現時間だったのだろう、正面モニタ右下に表示させているレーダーに、赤い丸のマークが表示されている。位置的に俺の後方で、先ほど通り過ぎた倉庫の辺りだ。正面モニタ左下のブーストゲージに目をむけ残量を確認すると、ゲージはまだ3分の1程残っている。俺は、一度右足をペダルから離しスラスターの射出を止める。
 慣性が働き機体が前方へ流れているのを感じながら、左右の操縦桿を同時に右へ傾ける……と、同時に右フットペダルを踏む。左に向いたバックパックのスラスター射出口。射出時のエネルギーによって得た推進力が、機体を強引に右方向へとスライダさせる。敵の射線上から外れたことを祈りつつ、右ペダルから足を離し右操縦桿を前に、左操縦桿を後ろへ引く。反時計回りに機体が左旋回を始め、モニタに映る景色がそれに併せて流れていく。レーダーを見ながら敵機のマーカーがが正面に来た所で操縦桿をフラットに戻す。モニタに映ったMSはRGM-79、通称ジム《GM》だ。
 ガリガリという機体が地面を滑る際、足元を削る音が聞こえるのと同時にコックピット内を揺らす振動が妙にリアルだ。機体の動きが一瞬静止する膠着時間。ブーストゲージの消費量によって増減する為、対プレイヤー戦ではこの膠着時間をいかに狙うか、またはいかにカムフラージュするかが重要になってくる。もちろん対NPC戦でも、膠着時間を上手く使えば倒すのは難しくない。その逆もありえるのだが、この戦闘エリアの敵は鬼畜な強さではない為、下手な俺でも十分戦える……はずだ。
 極力慌てないように右操縦桿を操作し、敵に対し照準を合わせようとするのだが肝心な事を忘れていた。武器を装備して無い……、正確にはザクの両サイドとリアアーマーには装備設置可能部位《マウントラッチ》があり、所持したMS用武器を装備する事で実際にゲーム上に武器グラフィックが表示される。ライトラッチにはザクの代表武器の120mmザク・マシンガン。レフトラッチにはこれまた代表するヒートホークを装備。リアラッチには他に装備する武器を持っていないため、マシンガンの予備弾薬を装着している。予備弾薬に付いては、MS用アイテム欄に入れておけば装備しなくても装填《リロード》されるのだが、見栄えを良くする為だけに装備させていた。
 両方の操縦桿の人差し指側には装備選択のボタンが付いており、装備に対応したボタンを押しながら左右どちらかの操縦桿のトリガーを押す事で武器を手に装着でき、装備武器の各残段数に付いては、サイドモニタ下に並んで表示されており、今装備しているものは不透明で表示され、それ以外は半透明で表示されている。

「それでは……いくぞぉ」

 右の操縦桿を操作し、武器を装備させる事で表示させる照準マーカーを相手に向ける。拳2個分くらいの円形と、その中心に×マークの物が照準マーカーである。×マークは中心点を、円形は精度を表している。特にマシンガン系は集弾性能は悪い為ブレ易い。敵が射程距離内に入ると、照準が赤くなる。その時に装備した方の操縦桿のトリガーを引く事で攻撃を行う。
 120mmマシンガン――通称ザク・マシンガンから銃弾が連続で発射されると、それにあわせて右の操縦桿に振動が返ってくる。もちろんその影響で照準がずれる事があるので、これをコントロールしなければ効果的なダメージにはならない。集弾率を上げる為は、トリガーを押しっぱなしにせず発射弾数を区切るか、射撃によって暴れる銃身を制御するしか無い。他ファーストパーソン・シューティングゲーム《FPS》の様に、マシンガン系の武器を使う場合はリコイルコントロールというテクニックを身に付ける事、これが上達への一歩であり覚えておかないと弾の出費がバカにならない。
 始めたばかりの初心者にはコントロールは難しい、なので俺は左手を使うのだ。添えるだけじゃない、左手も重要なんだ。
 ザクマシンガンのグリップより砲身側に、フォアグリップがついている。片手射撃できる武器で、両手持ち可能な武器に限り両手持ちアクションが可能だ。フォアグリップを左手で掴み構える事で、リコイルコントロールがし易くなる。初心者だからというわけではなく、上位のプレイヤーの中にも両手持ちしているプレイヤーは少なく無い。戦闘は避ける事と当てる事が重要なのだ。
 両手持ちにして格段に照準をコントロールしやすくなった俺の攻撃は、着実に相手のエネルギーゲージを削っていく。相手のエネルギーゲージは相手機体の上部に表示されるため、エネルギーゲージの減り具合を確認できる。
 今闘っているジムの装備は同じくマシンガン系、恐らく威力もザク・マシンガンと似たり寄ったりだろう。ビーム兵器等に比べ、マシンガン系は相手を怯ませるスタン値と言うものが少ない為、攻撃を当てても平気で動いてくる。恐らく連続で当て続けないと無理だろう。ジムの放つ銃弾を回避しつつ、片手時よりも狙いやすくなったザク・マシンガン照準を合わせてトリガーを引いた。

「よし!!」

 思わず叫んでしまったが、敵機であるジムの機体が動きを止め煙とスパークを出しながら地面に倒れた数秒後に、爆発のエフェクトを撒き散らしながら地面へと溶け込み跡形もなくなった。1機を倒すのに要した時間は90秒。15分で10体撃破のミッションはすんなりクリアできたのだが、今回……雲行きは怪しい。

「きびしいな……」

 そう呟いた俺は、次の敵MSを探すため移動を始めた。


***


「ふぅ……」

 サンダスタウンへと戻ってきた俺は、ため息を漏らしながら格納庫と戻ってきた。

『おう、今日はどんな用だい?』

 先ほどと同じ威勢のいい青年に話しかけ、メニューウィンドウを開く。整備とカスタマイズのボタンを押す。

『わかった。今ハンガールームを用意するからな』

 その直後、ハンガールームへ転送させられた俺は固定されたMSのコックピットを開いて、リフトに掴まり降下した。1つのハンガールームには最大10名まで入室でき、現在プレイヤーの姿が7名ほど見える。Wのトーラス以外はほとんどが俺と同じザクタイプだ。
「まぁ、プラスだから良しとするかな」