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機動戦士ガンダムワールドNG

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 アイテム欄に表示されるお金の数値を確認した所、先程より増えている為少し安心した。実際はプレイヤーMSの整備依頼を受けた方が稼げる。戦闘エリアのミッションをクリアできていれば、そんな事もなくおいしくなるのだがそう上手くはいかない。
 結局、制限時間20分で20体のMSを倒すというミッションは達成できなかった。3体に囲まれて数的不利な状況が何度かあり、1体を集中して攻撃しすぎて他のMSのケアができていなかったり、いろいろ考えながら操縦している内にタイムアップとなった。結果として13体までは行けたのだが、まだまだ操作に付いては未熟だ。いつかはプレイヤー同士の大規模戦闘も参加してみたいとは思う。

 週に1度行われる両陣営の陣地取りに影響する大規模戦闘は、ネット上でもゲーム内でもリアルタイムで配信が行われ、後日にはその映像がアップロードされる。多種類のMSがアニメさながらに飛び交いながら、攻防が繰り広げられゲーム内でそれを見ていた俺は、身震いするほど興奮した。
 対プレイヤー戦闘では、MSが撃破されたり宇宙では艦隊、地上では陸用艦を攻撃・撃破する事で敵の戦力ゲージを減少させられ、制限時間内に戦力ゲージを0にした方が勝利となる。制限時間内でも戦力ゲージが0にならなかった場合、ゲージが多く残っている方が勝ちというルールだ。このため、単独行動するより味方との連携が必要となる。
 そうなってくると必要となってくるのは、優秀なオペレータや指揮官という存在なのだが、このゲームには勿論存在する。
 俺の様にMSも乗るし機体整備もするプレイヤーもいれば、基本的にMSに乗らずに戦闘エリアで指揮を取るプレイヤーもいて、遊び方は色々だ。もちろん1人が全体の指揮を取るという事は実際難しいだろう。そこで搭乗するのが隊というゲームシステムになる。最大500名の大隊は5つの中隊、中隊は5つの小隊、小隊は最大20名での構成となり、プレイヤー間で作成できる分隊《チーム》の最大人数は小隊と同じ20名までとなる。指揮官は各隊をまとめるオペレータ《補佐官》へ情報を伝達する事で、大規模戦闘で指揮する事を楽しめると言うものだ。指揮官のプレイヤーは毎回ランダムのルーレット抽選となるため、毎回同じプレイヤーが指揮官になれるわけではない。
 さまざまなプレイヤーが集う大規模戦闘のは、このゲームの醍醐味の1つ。1度は経験しておく方が良いと情報サイトには必ず書かれている。ある意味このゲームの醍醐味であるし、病み付きにさせる魅力とやらがあるらしい。

「とは言うけどねぇ……」

 魅力とやらを味わうには、まだまだ当分先だろうとため息をついた。それよりも、まずやるべき事は戦闘で減ったHP《ヒットポイント》を表すエネルギーゲージの修復と、各部位や部品に存在する耐久値の修復だ。必要なアイテムは修理キットとエネルギーパック。エネルギーパックにも種類があり、基本回復量と金額に差がある。最大値の1割回復させるエネルギーパックが一番安い物で、一番高いのは5割回復させる物だ。
 もちろん、俺が使うの12番目に安いエネルギーパックに決まっている。節約するのは本当に大事。そうしなければMSを手に入れるのは当分先になっていたであろう。エネルギーバーを半分近く削られているが、整備スキルのおかげで3個ほど使えば満タンになる。あとは各部位のパーツと武器の手入れになるのだが、それぞれに耐久値というのが存在し戦闘をするほど徐々に減っていく。もちろんダメージを受ければその分さらに減ってしまう。この耐久値が減る事で、MSの動きが鈍くなったり、各武器の性能が低下していく。マシンガンの場合、集弾率はさらに悪くなり戦闘が不利になったりと良い事が無い。

 この耐久値の問題を改善する方法は2つ。耐久値を回復させるか新品を購入するか。後者の方が費用はかかるが即時に解決できる。前者はプレイヤーが耐久値を回復させるという方法だ。だがプレイヤーが耐久値を回復させるには条件がある。条件と言うのは整備スキルのオーバーホールが必要となる。その為、このゲーム内でオーバーホールのスキルを持っているのは主に整備士プレイをしているプレイヤーだろう。その為、オーバーホールを持つプレイヤーの所には耐久値修理の依頼が集まる為待たされる事が多い。ただ新品を買うより、はるかに費用は安い……はずだ。その整備士のプレイヤーのさじ加減1つだが。
 俺がMSを手にいれて実際に乗れるまで時間が掛かったのは、主にこれが理由だ。購入した当初、各パーツの耐久値のゲージが赤だったり最悪無い状態だったりで無残な状態だった。幸い、このサンダスタウンにも耐久値を整備できる整備士はいるのだが、やはり混雑している。なかなかチャンスがやってこなかったという事もあり、自分でこのスキルを取得する事を決めた。
 このオーバーホールのスキルは誰でも取得できるが、試験を受けねばならない。前提条件は一定以上の整備スキルを持っている事……それだけだ。それがクリアできているならば、あとは試験を受けられる街まで行き試験を受ける、たったそれだけでいい。もちろん受験料は初心者にはきつい初回5万C《クレジット》。しかも試験合格判定はなんとランダムという、非常に恐ろしい試験である。しかも試験を受ける回数が増えると、受験料もあがるという理不尽な試験なのだ。
 情報サイトでは、合格率15%~25%とも言われているが実際のパーセンテージは公開されていない。1回で合格するプレイヤーもいれば、20回受けても合格できないプレイヤーもいる。なんかブログで怒りまくっているのを見た記憶がある。
 もちろん俺は、そんな試験なんて1発……とはいかず5回目でようやく合格した。MSを買い、余った分でいろいろ装備を買おうと思っていた虎の子のお金が、この試験のお陰ですべて消し飛んでしまった。
 ただし、オーバーホールのスキルを持っている事がばれると、依頼が殺到しそうなので誰にも教えていない。

[ポーン]

 こっそり整備していた俺は、この音にビクっと体を強張らせた。

[1件の通信が繋がっています。通信を許可しますか?]

 腕に付けた端末の女性AIがたんたんと告げる。端末の画面を見ると通信者の名前と、顔写真が表示されている。『ガスパー10』という顔馴染みと言うか、サンダスタウンで3ヶ月近く整備の仕事をしていれば、自然と知り合いもできるというもの。通信のボタンを押し相手との通信を接続する。

『ようリブロフ。今平気か?』

 大丈夫、とだけ答えながら俺は整備を再開していた。非常にいい声を持っているが、外見は元々のものより大分強面にしたようで、声の爽やかさとのギャップがある。髪はオールバックの金髪、俺のほぼ坊主に近い短髪な外見とは対照的だ。ガスパーの近況など他愛ない話をしながら、俺はパーツの耐久値回復に整備ツールP、武器の耐久値回復に整備ツールWをそれぞれ選択しながら作業は続けている。

『それでよう、今度の日曜日は空いてるか?』

 空いている、というのはもちろんゲームにこれるかという内容だ。現実世界での知り合いではないし、お互い現実の情報は一切やりとりしていない。