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いけるしかばねinバレンタインデー【静帝】

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「狼は一匹、ウサギは一羽。そこまでいいかもしれない。帝人君は『最終的は僕しか残りませんよ』って自分の腹を撫でたんだ」
「ブラックだね」
「帝人君はシズちゃんを食べきるつもりだよっ。散々手足としてこき使って……っ!」
「悪い子に育てたねえ」
「俺は育ててないよ。目が覚めて帝人君に電話したら『馬鹿じゃないですか』の一言で切られた」
「何時に電話したのさ」
「朝の四時ぐらい?」
「謝りなよ」

リモコンをいじりながら新羅は告げる。

「ちゃんと『起こしてごめんね』ってメールしたけど返信来ないどころかエラーが出るんだよね。帝人君と俺のケータイ相性悪いっけ?」
「あ、帝人君メアド変えたって今日の朝」
「そっか。タイミング悪かったな。変更したアドレス俺に送信ミスしたんだな」
「臨也、まだ夢の中にいる?」
「そんことないけど?」
「実は狼仲間だった夢の中が楽しかったとか思った?」
「まあ、シズちゃん食べきったら一人でいるのも飽きるから俺の所に帰ってくる」
「うん、夢……ね」

新羅は自分の配役は何なのか気になったりもした。
狼なのかウサギなのか、それとも別の動物なのか。

「新羅は森のお医者さんだったよ」
「そっか。一番忙しそうなポジションだけどナースのセルティが一緒にいるならいいや」

臨也は台所へ歩いていく。
中に声をかけると溶かしていないチョコを手に戻って来た。
これが目的なのは知っていたがソファに座り帰る気配がない。

「帝人君から『チョコって肌にかけると火傷しますよね?』ってメールが昨日の夜に来てて」
「それに『知らない』って返したの?」
「いや、確か『SMプレイは低温蝋燭』にしておきなよって返した」
「返信は?」

来ないだろうと思ったが臨也は「高いってさ」と言ってくるので新羅は帝人のことが少しわからなくなった。

「そんなに高くないと思うんだけど。火傷しないようにしてるから低温なんだしさ」
「高いのは温度じゃなくて値段じゃない?」
「え、あー。でも、蝋燭って別に高くないだろ」
「帝人君の金銭感覚は学生だから臨也とは違うよ」
「仕方ないからこの割りチョコを溶かして帝人君に掛けてあげようと」
「帝人君の意見を聞いてあげるんだ」
「そうそう。セルティからのチョコだって言えば喜ぶだろうし」
「怒るに怒れないかな……確かに」

「でもでも、みかプーに掛けちゃったらみかプーは残念じゃない?」

掛かる声に見ればエプロン姿で泡立て器を持った狩沢絵理華。
セルティにガナッシュクリームの作り方を教えに来ていた。

「だって、みかプーはシズちゃんに掛けたかったんじゃない?」

狩沢の意見に臨也と新羅は見つめ合う。