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こらぼでほすと にるはぴば

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 当日まで、マンションに居てもらわなければならない。そうでないと、せっかくのサプライズが顔を合わせられないなんてことになるからだ。

「悟浄、そういうことなら、ディアッカを連れていけ。体力はあるぞ。」

「まあ、そういうことなら手伝うよ。」

 イザークが、ディアッカの肩を叩くと、ディアッカも笑いつつ、手を挙げる。それだけの数なら運ぶのも大変だから人手は入用だろう。

「だいたい、そんなとこかな? じゃあ、準備をお願いします。キラ、ラボへ戻るよ。」

「・・・うーーーー・・・」

「ママニャンのサプライズには、刹那なんだろ? 」

「うん。」

 四ヶ月と期限を切ったのは、キラだ。その間は、何があろうと、アロウズや連合は動けないようにしておかなければならない。その操作をやっておくのが、キラの日課になっているのだが、一週間で、そろそろ、飽きてきたらしい。だが、黒猫と親猫を、のんびり逢わせてあげたいと思ったのも事実だから、渋々ながら、アスランの腕にもたれかかって出かけていく。代われるものなら代わってやるのだが、こればっかりは、キラとアスランにしかできないので、スタッフも見送るしかない。




 月曜日の朝というのは、割りと早起きだ。野郎二人だと、あまり朝寝坊なんてものもない。とりあえず、食事して、洗濯なんかに勤しむニールを横目に、ハイネのほうは、メールに目を通している。昨日のおちゃらけ全開会議に参加しなかったから、決定事項と計画が送られてきたからだ。

・・・・・もどきは、元カレって・・・せつニャンは大モノだよな・・・・・

 普通なら、元カレのところへ帰るなんて言われたら、怒るだろうに、許可したらしい。まあ、こちらに連れて来るわけにもいかないから、そのほうが都合が良かったというのもあるだろう。

 食事やデザートなんかの配達は、黒猫当人にやらせるから、夕方には、そこから脱出しろ、という、ハイネへの指示がついていた。それまでは、こちらに滞在して、せいぜい、ママニャンの仕事を作っておくのが、ハイネの目的だ。了解、了解と携帯端末を閉じると、洗濯物を干し終えたニールに声をかける。

「午後から、ぶらぶらでもするか? ママニャン。」

「おまえ、ラボのほうはいいのか? ハイネ。」

「今日は、そっちは休みなんだ。ランチは奢るぜ? 」

「うーん、天気がなあー微妙なんだよなあ。」

 ベランダに干しているシーツが、ハタハタとはためいているのだが、風か強いし、雲が流れているから、天候が怪しいと思っているらしい。

「乾燥機に放り込めよ。」

 今の乾燥機は、殺菌まで、きっちりするから、外へ干す必要はないのに、大概、ニールは外へ干す。

「でも、太陽で殺菌するほうが気持ちいいだろ? 」

「そういうもんかなあ。俺なんか、全自動で全部やってくれるほうがいい。」

「まあ、そうなんだけどさ。三蔵さんとこのが、全自動じゃないから、もうクセになってんだよ。あの人、太陽に干すほうが好きなんだ。」

「・・・・・ママニャン、そんなことまで言いなりにしてやるから、三蔵さんが離さないんだぜ? ママニャンが結婚するって言ったら、三蔵さんは妨害するに違いない。」

「あははははは・・・・・確かに、そうかもな。まあ、当分、結婚するつもりはないし、第一、相手がいねぇーってーの。」

「いや、出会いって突然だぞ? 」

「そういう、おまえさんは、どうなんだよ? こんなとこで、俺の相手させられてる場合じゃないだろ? 」

「うるせぇーな。今のところは、切れてるってだけだ。相手は、選り取り見取りなんだよ。ほら、雨が降ったら乾燥機。とりあえず、ブランチがてらに外出。」

 強引に押し切るように、ハイネが外出を勧める。ここの準備が来るまでに、とりあえず、親猫を外出させなければならない。さあさあ、と、急かせていたら、呼び鈴が鳴る。

「娘さん、たまには、一緒に食事でもどうだ? シンとレイも一緒なんだが、ハイネと降りて来ないか? 」

 ニコニコとトダカが、マンションのエントランスから呼び出しをする。なるほど、この人なら有無を言わさず連れ出せるわな、と、ハイネは感心しつつ、「おら、お里からの呼び出しだ。ママ、行くぞ。」 と、返事をする前にニールを連れ出した。





 ニールたちがお出かけして、しばらくして、鷹と紅が荷物を運び込んだ。さすがに、七段の飾りは派手過ぎるから、リビングのチェストに置けるお内裏様とお雛様だけの飾りを用意した。もちろん、人形だけではない。背後の屏風や雪洞、人形の壇など、付属品が多いので、確認用の写真を片手に、男ふたりで、必死に配置した。それから、ソファを空いた部屋に片付けて、絨毯を敷き、こたつを設置する。

「後、キラからのおまけ。」

「ああ、これか。まあ、今現在最強の護りだわな。」

 紅が、キラから預かってきたのは、片手に乗るぐらいの猫の人形だった。それを、雛飾りの両側に、二匹ずつ並べる。赤い目の黒猫と青い目の白猫が、お雛様の少し前に、赤い目の紫猫と、金色と銀色の目のオレンジ猫が、お内裏様の少し前に置かれる。これで、武官の代わりということらしい。ついでに、同じセット猫を、玄関にも飾る。キラらしいお遊びだと、鷹は笑いつつ、桃の花をガラスの花瓶に投げ入れて、これも、雛飾りの横に並べ、余った枝を、コップに挿して台所へ飾った。他にも、菜の花を玄関に、フリージアを洗面所に、スイトピーを黒猫と親猫の部屋に飾り、だいたい、設置は終了だ。たかだか、一日のためなのに、全力を使うのが、吉祥富貴流というところだ。

「あ、みかん、忘れたな。こたつには、みかんだろ? 」

「シンに調達させて持って来させるとするか。」

「なら、トダカさんにメールして渡して貰おう。そのほうが自然だ。」

 ただいま、連れ出しているトダカが、ビタミンは取ったほうがいいとかなんとか言えば、親猫も大人しく受け取る。鷹が、トダカに向けて、メールを打って、それを連絡した。じゃあ、撤退と、紅が立ち上がろうとするが、鷹は動く気配がない。

「鷹さん、居座るのか? 」

「ああ、ママが戻るまで居座る。ママの作るサンドイッチ好きなんだよな、俺。」

 どうせ、夜の仕事があるから、食事を取ったら戻ってくる。だから、それを食べさせてもらおうというのが、鷹の魂胆らしい。まあ、いきなり、これだけ部屋を変えられていれば不審がるだろうから、その説明にも居座っているほうがいいだろうというところだ。

「紅は、好きにしていいぞ。」

「なら、俺は帰る。」

 どうも、こういうのは慣れないから、紅のほうは、親猫と顔を合わせるのは照れる。不法侵入なのに、「ありがとう」 なんて言われたら、かなり恥ずかしい。





 近くで食事して、ちょっとぶらぶらして、トダカ達と別れてきた。帰り際に、トダカから、「ビタミンを取らないとね。」 と、袋一杯のみかんを渡された。風邪の予防らしいので、ニールも有難く受け取った。