東方疑異伝
「なんだ……まだ俺を殺そうとする気か?」
嫌味っぽく『彼女』はそう言う。
「殺すつもりならなんで治す必要があるのかしら? それともやっぱり私に殺されたいとかのドM願望でもあるのかしら?」
「…遠慮しておく、俺はまだ死にたくはない」
「あら残念、それはつまらないわね。 …それはそうと貴女…名前は?」
予想外の質問だったのか、『彼女』は「へ…?」と声を出し、ぽかんと口をあけて彼女はレミリアを見る。
「だ! か! ら! あんたの名前!」
レミリアはちょっとムキになって子供っぽくむっとして彼女を見つめる。
「・・・・・・順序が理解できんのだが・・・」
「いいから答えなさい」
「……烏騅(うすい)」
彼女はそう呟く。
「烏騅…? ふぅん・・・」
レミリアが品定めするかのように烏騅を見る。
「悪かったな。 俺だってそこまで気に入ってる名前じゃないんだよ」
「そんなことは誰も聞いていないのだけわ。 あんたが気に入ろうと気に入らまいとあんたの名前よ。 ……あぁっと、私らの自己紹介がまだだったわね。 私はレミリア・スカーレット。 この館の主よ。 こっちがメイド長の十六夜 咲夜」
「十六夜咲夜です。 よろしく」
十六夜咲夜。
この紅魔館でメイド長をしており、レミリアに絶対的な忠誠を誓っている。
ある意味主人に仕えるメイドというよりも、姫を守る騎士的な表現をした方がしっくりくるような雰囲気の女性。
他のメイドとは違い、ミニスカで、身体のラインが出てるメイド服を着ていて、髪は短いのだが、もみあげ辺りの髪が長く三つ編みにしている。
余談だが、一時期P〇D疑惑をかけられ、PA〇長という不名誉なあだ名をつけられた事もある。(もちろん禁句。 口にしたが最後、一瞬にしてまわりにナイフが配置される)