東方疑異伝
「ん…ここは……」
『彼女』は全身包帯巻きでベッドに寝かされていた。
俺はどうしたんだっけ? と考えるが、なにも思い出せない。
視線を横にずらすと水の入った桶にタオルをつけていた、羽が生え妖精のようなメイドと目が合った。
目が合ってからお互い何も話さずしばらく沈黙がながれた。
数十秒の沈黙のあとに「あの…」と声をかけると、そのメイドは怯えたように体を震えさせて勢い良くドアから出て行く。
「・・・・・・ちょっとは人の話聞けよ………というかなにがあったんだ? たしかあの羽が生えた女の子から大量の光る玉みたいなのを食らってそれから……」
その時カチャっとドアが開き、さっきのメイドとは違う服装で、長身の女性が入ってきた。
その後ろを図書館で彼女を殺そうとした女の子がついて入ってくる。