東方疑異伝
しばらくすると紙袋を持って咲夜は戻ってきた。
烏騅も落ち着いたよだがまだちょっと引きずっている様子。
「おまちどうさま。 サイズが合うかどうかはわからないけれど。 はい、何着かあるからサイズが合う物を自分で探してちょうだい」
手渡された紙袋の中には意外と(?)フォーマルな燕尾服が何着か入っていた。
「ありがとう」
「…お嬢さまに着せたかったけど仕方ないわね」
ボソッと咲夜はつぶやく。
「えっ? これ、レミリアの? どうみても男物だけど」
烏騅にも聞こえたらしく渡された燕尾服をまじまじと見る。
すこしばかり標準よりサイズは小さいものの男ものである。
「あっ、いや流石にお嬢さまの物を持ってきたりはしないわよ。 お嬢さまに着せたらさそがし可愛いだろうなぁって思って買ったのだけれどもね、サイズが大きすぎたことん気がついたのよ。 いや、そういうお洋服をお召しになったお嬢さまの可愛さもいいのだけれどもね………」
烏騅は言葉がでなかった。
目の前の人物は本当にさっきのと同じ人物なのかと。
実は双子で姉妹入れ替わりで来たんじゃないかと目を疑ったくらいだ。
そのくらい豹変している。
まるで我が子の可愛さを語りまくる馬鹿親のごとく。
「あの…その話はまたの機会にしないか?」
10分くらいしゃべった後に、烏騅が言うと咲夜はやっと我にかえった。
「…そうね、貴方にやって貰いたい事もかなりあるし。 とりあえずその服に着替えたら使用人室まで来て頂戴」
「使用人室?」
「ここの部屋から右に行ってまっすぐいったとことにあるわ。 道が分からなかったらそこら辺の妖精メイドを捕まえて聞いてね」
咲夜はじゃあ待ってるわと言い部屋を出ていった。