東方疑異伝
「ほ…本当か?」
「いいよ~。 その代わり上に行くまでの間フランの話相手になって」
「そのくらいならいいよ。 上に行くまでじゃなくて暇な時はいつでもいいよ」
それを聞いた瞬間、フランドールの羽に付いてる宝石がジャラジャラと音を立てる。
「本当!? やったぁ! んじゃお兄さん、行こうこっちだよ」
フランはかなり喜んだみたいで烏騅の手を引っぱる。
その力の強さに烏騅は思わず転びそうになった。
烏騅は小さいのに凄い力だなと心の中で呟いた。
「えへへ~なにからお話しようかなぁ~。 そうだ! この間、咲夜がねぇ、P…」
烏騅はフランの話を聞いて相槌をうったりしながらフランに引っ張られていった。
フランに連れられてどうにか一階まで戻ってきた烏騅。
「ここがいっつも咲夜がいるお部屋だよ」
朱色のドアの前でフランはとまり、言った。
「ありがとうな。 フラン」
烏騅はフランの頭をぐりぐりと撫でる。
帽子がずり落ちそうになるがフランは無邪気な顔で笑う。
「えへへ、どういたしまして。 いろいろお兄さんと楽しいお話できて楽しかったよ。 それじゃあフラン自分のお部屋に帰るね」
「あっ…ちょ…」
言うが早いが、宝石をぶら下げているような不思議な羽根(というか翼?)をパタパタと震わせながら凄いスピードで飛んで行った。
途中ドカーンと馬鹿でかい音が響いているのを聞いて烏騅は苦い顔をする。
「…ん…まぁとりあえず中に入ろう。 咲夜さん多分怒っているだろうなぁ」
とりあえず咲夜に会ったら弁明より先に謝ってから仕事内容を聞こうと心に誓いながらドアノブに手を掛けた。
……それが死亡フラグとは知らずに。