東方疑異伝
烏騅と美鈴は、館の前にある湖の脇を通り、森を通過して人里に到着。
途中いわゆる下級妖怪が襲ってきたが、美鈴が蹴散らしたのでほぼ無傷で到着できた。
「や・・・やっと着いた」
「あっ、いっつも買ってるお店に用意してもらうように行ってくるんでちょっと待っててください。 すぐ戻りますから」
「あ・・・っちょっ・・・」
と、人里に着いてすぐ美鈴は烏騅を置いてどこかに行ってしまった。
いきなりおいてけぼりにされたので待っていることにしたが、すぐに暇になったのでちょっとうろつくことにした。
「へぇ・・・ここが里かぁ・・・へぶっ」
そこらへんにあるものすべてが烏騅には物珍しいもので、見ながら歩いていると誰かにぶつかった。
「おっと失礼、急いでいたものでね」
ぶつかった人はフォーマルな黒のスーツに黒の帽子をかぶっている。
顔は帽子を深くかぶっているためわからないが、声は中性的な人だ。
里の人間は基本和服なのでちょっと浮いているが、角が生えていたり、羽が生えていたりするような人(?)がちょいちょいいるために特に気にしないでおいた。
「こちらこそすみません。 ちょっとよそ見していて」
いそいで頭を下げる烏騅。
「まぁお気になさらず・・…・では、申し訳ないが急いでいるので失礼するよ」
「あ、はいすみませんでした」
その人は烏騅の隣をすれ違いざまになにかつぶやいた。
「え?」
しかし、その言葉は烏騅の耳には届かず、思わず後ろを振り返った時にはもうその姿はなかった。
が、代わりに美鈴の姿があった。
「お待たせいたしましたって、あの~烏騅さん……どうかしました……か?」
「えっ……ここにだれかいなかった?」
「え? だれもいませんでしたけど」
美鈴は周りを見回しながら答える。
「・・・?」
烏騅は首をかしげる。
「なんだかわかりませんが烏騅さん、ここで立ち止まってもあれですし、行きましょう」
「あぁ・・・そうだ・・・な?」
かなり腑におちない点があったが、美鈴が烏騅の手を強引に引っ張り、人里奥まで入っていく。
少年? 少女買い出し中……。