東方疑異伝
「ふぅ……リストみた時からある程度は予想はしてたけど、この量……二人で持って帰れるのか?」
持ちやすく袋に包んで貰ってはあるが、相当の量の食材が店の前に置かれている。
これ運べないんじゃね?とか思ってる烏騅は置いといて、美鈴は店のオヤジと話をしている。
「じゃあ代金はいつも通り月末に」
「あいよ、咲夜さんによろしく伝えてくれ」
「はい、わかりました。 おまたせしました烏騅さん、咲夜さんを待たせる怖いので、早く館に戻りましょう」
美鈴がやったのは支払いというよりツケである。
「帰るって…二人で運べないだろこの量。 紅魔館とここまで往復するのか?」
「あっ大丈夫ですよ。 思ったより量がありませんから」
軽く一般家庭なら1~2週間は軽く満腹で過ごせる量の食材を前に、美鈴は少ないとか言い始めた。
「よいしょっ……と」
袋をいくつかまとめていたかと思うといきなり美鈴は食材の4分の3程を持ち上げた。
「あぁすいません烏騅さん、残りをお願いして良いですか?」
「あ…あぁ……」
美鈴が持ち切れなかった食材を烏騅は持つ。
4分の1とはいえ、元の量がかなりのものなのでかなり重い。
「では戻りましょうか」
「美鈴……重くないか? 少しくらいなら持つけど……」
男が女に荷物を多く持たせない主義なのか、結構無理して烏騅は美鈴に聞く。
「えっ……? あっ……し……心配してくれてありがとうございます。でもこれくらいなら軽いもんですよ」
にこやかに美鈴は答えた。
「そうなんだ……ツラくなったら言ってくれ」
「っ……あ……ありがとうございます。 さ……咲夜さんを待たせると恐いから早く戻りますか」
「そ……そうだな。 なるべく急いで帰るか」
美鈴と烏騅はできる限り急いで紅魔館への道に向かった。
人里を彼女らが離れた直後、紅い霧が中心部にある泉から人里を覆い始めていた。
「ぜぃ……思ったより……ぜぃ早く……着きましたね」
思ったより早く二人は紅魔館に帰ってきた。
帰ってくる途中に食材を狙った妖怪に襲われかけて全力疾走で帰ってきた為、美鈴と烏騅の息は荒い。
美鈴なら撃退もできそうだが、大量の食材を持ち、戦闘では役に立たない人間を連れているため逃げるしかなかった。
「ぜぃ……ぜぃ……」
妖怪とか人間だとかそういう事を抜きに自分の方が荷物が少ないのに女性に多く荷物を持たせたことをまだ後悔している。
「……ふぅ……あっ、烏騅さん。 食材は私が倉庫に運んどくんで、門のあたりに置いといてください。 後咲夜さんに報告お願いしますね」
「ぜぃ……ぜぃ……わ……分かった」
持っていた荷物を門の壁に合わせるように置き、紅魔館に向かった。
少年移動中…