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こらぼでほすと 拾得物1

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 珍しく、キラがプラントまで遠征してきたから、議長は予定をすっ飛ばして、やってくるつもりだ。うーん、と、キラは考えて、「プラント限定のソルベとアイスとマカロンが食べたいな? ギルさん。」 と、リクエストした。

「お安い御用だよ。すぐに用意して行くから待っててくれ。」

 議長様も満面の笑顔で頷いて、通信は切れた。まあ、三時間もしないうちに、あの暑苦しいのが現れるだろう。

「おまえが逢いに行けば、俺たちは楽なんだがな? キラ。」
「ヤダッッ、刹那が目を覚ましたら逢いたいもん。」

 だから、それは最低二週間は先だ、と、言ってるだろうが、と、虎は思うわけで、まあ、とりあえず、この天然電波大明神様は、しばらくプラントの議長に押しつけておこうと考え直した。一ヶ月も、ここに篭っているなんてことになったら、毎日、大明神様の行動に右往左往することになる。それは避けたい。

「ダコスタ、アスランは、どこだ? 」
「ドックですね。呼び出しますか? 」
「ああ、呼んでくれ。それから、リヒティ、おまえは、帰っていいぞ。」

 ブリッジに詰めているはずの航海士にも、通信越しで声を掛けた。すると、画面にリヒティが現れて、「マジっすか? 」 と、笑っている。

「しばらくは滞在だ。整備には付き合わなくてもいいから帰ってやれ。」
「いやあー助かりまっす。たぶん、てんやわんやになってると思うんすよねぇー。」

 このミッションの準備段階からエターナルの操船をしてくれていたので、丸々三ヶ月ほど家を空けているし、リヒティの家はプラントなので、すぐに帰れる。ニコニコと笑っている青年は、じゃあ、早速っっと行動し始めた。

「あーーーーーリヒティッッ、僕も後で行くからねーーー」
「了解っす。うちのも楽しみにしてるんで寄ってください。」

 キラは、今回のミッションで、初めてリヒティと顔を合わせた。元々、歌姫様がキラのお願い以外に拾ったから、歌姫様の個人スタッフになっていたからだ。大型艦のパイロットをやっていたから、エターナルの操艦も見事なものだった。マイスターたちも目を覚ましたら、びっくりするだろう。歌姫様は、いろいろと内緒で拾って隠しているらしい。

 もちろん、CBのほうにも、今回伝えたが、ものすごく驚いていたのは、言うまでもない。リヒティの身体が特殊で、プラントでしか治療できなかったので、連絡できていなかったのだ。戻る戻らないは、今後のことということにして、今のところはエターナルの操艦をしてくれている。



「バルトフェルトさん、お呼びですか? 」

 それから、すぐにアスランが医療ルームへ昇ってきた。実は、変態が来るんだ、と、説明したら、ものすごーくイヤな顔をされた。

「シンとレイも引き連れて、しばらく変態のところへ滞在してくれないか? こちらのほうは、ドックの人員で、どうにかなるし、ちび共は二週間は、このままだ。・・・・アスラン、すまないが頼まれてくれ。」

 まあ、天然電波な大明神様を、ここから引き離してくれということだとは分かっている。分かっているが、変態のところはいただけない。

「ホテルに滞在でいいじゃないんですか? あの変態は、ラクスより性質が悪い。」
「そこいらは、おまえに任せる。イザークたちが残ってくれるから、こちらは心配ない。ひとまず、ハイネは地上へ下ろすぞ。」
「そうですね。ラボは、トダカさんが仕切ってくれているけど、あまり長いことは悪いですからね。」

 現役引退組のトダカとしては、あまり、ラボの仕事には関わりたくないだろう。今回ばかりは人員不足でお願いしたが、とりあえず終わったので、ハイネに交替させるほうが無難だ。

「僕、ティエリアを二ヵ月後に迎えに行く約束をしたから、それまでには戻るよ? 刹那たちが目を覚ましたら、それも連絡してね? 虎さん。」
「ああ、二週間したら連絡する。」
「そういや、鷹さんは? 」

 鷹は、アカツキというカガリ専用MSを借りている加減で、クサナギに帰還している。あちらは、演習という名目で出てきているから三ヶ月は、宇宙にいるはずだ。

「先に降りるんじゃないか? アカツキは、そのままにしておけば文句は出ないだろ?」

 怖ろしく派手な機体なので、今回もペインティングは施してあるが、地上降下なんてやらかしたらペインティングが剥がれてバレバレになってしまうし、カガリ親衛隊が大切に整備しているだろうから、触らせてももらえないかもしれない。

「あっちにルージュがあるから、それで降りられるかな? それなら、ニールと交替してもえるか。」
「ああ、そうだな。ママのほうは、そろそろ、三蔵さんとこから呼び出しがかかってるだろうからな。」

 四年もすると、すっかり馴染んだ古女房と化していて、三蔵は、なんだかんだと呼び出して滞在させている。ニールのほうも、いい運動と気晴らしになるから、ほとんど、そちらに住んでいる状態だった。最近は、ラボでの情報収集には勤しんでいたが、それ以外は寺在住だったのだ。一ヶ月も女房が留守をすると、亭主も機嫌が悪くなっているだろう。




「え? 単衣? まだいらないでしょ? 行李の夏物のとこですよ。・・・・・きゅうりの苗? ホームセンターで買ってたんです。まだ、無理。・・・・・あーきゅうりは、今、買って植えないと夏に生りませんからね。食べたかったら・・・・・・あ、切れた。」

 ラボの管理ルームで、ニールは三蔵からの定期連絡を受けていた。毎年、きゅうりを植えて、それで、夏の焼酎割りの材料にしていたのだが、今年は植えていないから、帰って植えろ、という無茶な命令だった。悟浄と八戒は、先日、店の開店準備があるから、そちらの仕事に移って貰った。今は、トダカとふたりで、ラボのほうに詰めている。

 そして、痺れの切れた三蔵からの、毎日の定期連絡なんてものを、トダカは横で聞いて大笑いしている。あんまり甲斐甲斐しい世話をされていたものだから、すっかり、何にもしない亭主になってしまったわけで、三蔵だけが悪いわけではない。そうしたのは、ニールの責任だ。

「しかし、刹那君たちが戻ったら、どうするかなあ。寺に、もう一棟建て増ししてもらって、あちらに住むほうがいいんじゃないのかい? 」
「いや、そこまでしなくても。適当に行き来しますから。・・・・・三蔵さんも、話相手が欲しいだけなんですよ。」

 悟空も、大学でバイオ関係の勉強が楽しいらしく、アカデミーへ進みたい、と、言い出したし、毎日、なんだかんだと忙しくて、大学へ泊まり込むことも増えている。つまり、三蔵は、一人ぼっちになっているのだ。

「悟空くんも、親離れの時期か・・・・・そりゃ、寂しいだろうね。刹那君は、どうだろうね? 」
「もうすっかり親離れはしてますよ。まあ、元気にしてくれてたら、俺は、それでいいです。たまに顔を見せてくれさえすれば安心できますから。」
作品名:こらぼでほすと 拾得物1 作家名:篠義