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こらぼでほすと 拾得物3

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「たぶん、一週間以内には。」
「刹那君から話しているとか? 」
「いや、まだじゃないですか? ニールから、何のリアクションもないですからね。」

 そういうことなら、どういうことになってんだよっっ、と、キラかアスランに連絡が入るだろうと思われる。なんせ、CBの情報を拾っていたのは、彼らだからだ。

「穏便に済ませられるといいですね。」
「俺にも、こればかりはわかりません。」

 じじいーずですら、この報告はできなかった案件だ。自分たちが、上手くニールに告げるなんて自信はない。

「アスラン、爾燕のほうは、これといってないらしい。食器は、ちょっと揃えたいってさ。」

 悟浄が連絡を終えて戻ってきた。そういうことなら、厨房はクリーニングのみでいいですね、と、アスランもメモを書き込む。

「悟浄さんは、ママとロックオンのこと、どう思う? 」

 キラは、ストレートに質問する。うーん、と、悟浄は、しばし考えて、「わからん。」 と、返事した。

「ママニャンの反応が怖いけどな。」
「ママ、ショックで寝込まないといいよね? 」
「ははは・・・それぐらいで済んだらいいな。あいつ、元カレとか切れてんのかも不明だしなあ。」

 組織内部のことまで、はっきりとわかっているわけではない。刹那は、ロックオンを嫁と言うが、扱いはぞんざいだから、余計に邪推してしまう。こればかりは、刹那に、どうにかしてもらうしかないので、三人も寺へ行くのは避けている。



 打ち合わせの結果を、トダカさんに報告してきます、と、アスランたちは店を出た。店の責任者は、トダカだから、改装についての最終決済を下すのは、あちらだ。ただ、責任者がかなりの放任主義なので、アスランたちが打ち合わせたことが、ほぼ決定ではある。

 まだ、しばらく店は休みだから、店内は静かなものだ。カウンターの奥には酒が並んでいるが、それ以外は、まったく在庫もない。ビールまで、キレイさっぱりと処分してしまった。だから、ここにあるのは保存できる類の酒のみということになる。

「ちょっと、悟浄、ワインカーヴのは確認してあるから飲んじゃいけませんよ。」
「お硬いご意見なんぞ、聞く気にならないな。安いのなら、いいだろ? 」

 ごそごそとワインカーヴへと侵入していた悟浄は、手に比較的年代の新しい南欧の白ワインを手にして戻った来た。赤は、どうもよくない、と、悟浄は、大概、白を飲む。

 そのラベルを確認して、まあ、これくらいならいいか、と、八戒も頷いた。さすがに、肴も何もないところでラッパ飲みするほどの安物ではないので、店を閉めてから、デパ地下で、チーズとかローストビーフとかアジの南蛮漬けとか、そのワインに合いそうな肴を買って家に戻った。

「よく考えたら、デパ地下によるなら、わざわざ店からくすねる必要はなかったんじゃないですかね? 」
「あ、そういわれりゃそうだな。ははははは。」

 そんな会話をしつつ、酒盛りの準備をする。ささやかだけど、マイスター組無事生還記念パーティーパートツウというやつだ。白ワインは、少し冷やして、肴を皿に盛りつけ、ソファで、二人してグラスをカチンと合わせた。なんていうか、のどかな休日だ。この一年は、いろいろとハラハラしていたし、店も通常通りに開ける時も少なかった。どうにか、それもケリがついたから、また、のんべんだらりと店をやることになる。

「んー、これ、結構酸味があって爽やかだな? 年若いワインって感じの味だ。」
「その代わり、ぶどうのフルーティーな部分がよく出てますよ。」

 陽光のあるうちから、こうやって飲めるのが平和な証拠だ。しかし、一本のワインなんて、あっという間に空になってしまう。

「ビールってのも、どうかって感じだな。」
「なんかカクテルを作ってください。」

 家にあるもので、と、条件をつけたら、つれあいは、はいはいと立ち上がった。過去、ヒモとかジゴロをしていたほどの女ったらしだったつれあいは、そういう女性が好みそうなものも得意だ。店では、バーテンのトダカがいるから作らないが、かなりの種類は知っている。以前、トダカがぎっくり腰で休んだ時は、バーテンの代わりをしたほどだ。

 冷蔵庫から、黒ビールとジンジャーエールの缶を取り出して、ふたつのグラスと共に運んで来た。

「なるほど、お祝いのカクテルとしては最適です。」
「だろ? 俺には、ちと甘いが、おまえさんにはいいんじゃないか? 」

 ニールの故郷の黒ビールを使うというところが、ポイントだ。これは、シェイカーもいらないし、微妙な配分なんてものもしなくていい簡単なカクテルでもある。

 グラスを、ふたつ、八戒の前に置くと、八戒のつれあいは、黒ビールとシンジャーエールの缶を開けて、ひとつずつのグラスに、それらをこぽこぽと流しこむ。半分まで注いで、それを入れ替える。シャンディー・ガフと呼ばれるカクテルは、これで完成だ。

 片方のグラスを手渡して、また、カチンと合わせた。ほろ苦く独特の味のある黒ビールが、ジンジャーエールで柔らかい味になる。

 それを飲み干すと、今度は、スパークリングワインと黒ビールを半分ずつ注いだブラックベルベットを作る。記念なので、黒ビールベースであるらしい。

 ごくりと飲んで、ふうと息を吐いた八戒は、天井をしばし睨んで、それから、深刻そうに言葉を吐き出した。

「あなたが、双子だったら、僕は、ちゃんと、悟浄を選べるんですかね? 」
「はあ? 八戒さん? ワインごときで酔ったふりって、何ごと? 」
「酔っちゃいませんよ、悟浄。いきなり、あなたが分裂したみたいに、ふたり、現れたら、あなたを選べるかなあーと思っただけです。」

 いや、すでに、その思考が酔ってる兆候だろうと、悟浄は笑う。兄弟はあるが、瓜二つというわけではないし、確実に一人で生まれたから、そういうことは起こらない、と、断言できる。

「俺は、間違えないな。ちょいと質問すれば一発だ。」
「それは、あれですか? あなたの性感帯を答えろと? 」
「いや、それは最終手段。・・・・ま、その時になったらな。」

 見た目は同じモノだとしても、中身は違うはずだ。だから、それは、どこかに現れるだろう。例えば、翡翠色の瞳の奥とか、抱き締める身体の動きとか、そういうものだ。長く共に暮らしているからこそ知っている部分というのは、外側だけのコピーでは、コピーしきれるものではない。

「しかし、ある意味、八戒ハーレムだよな? 両手に、八戒。」
「悟浄、僕に分身の術を取得しろとか言ってます? 」
「言わないよ。一人で十分だ。」

 双子を両手にした黒猫は、どう思っているんでしょうね? と、八戒は笑っている。

「僕も、一人でいいです。・・・・ただね、僕の周りには、口五月蝿い関西のおばさんみたいな三蔵がいて、たぶん一番常識的だと思われる悟空がいて、刹那君とは違うけど、大切だと思います。それが、みな、同じ顔をしているだけだとは思うんですが・・・・僕は、間違って三蔵を殴りそうです。」
「それは間違ったフリってんじゃないんですか? 八戒さん。・・・・まあ、おまえと三蔵が同じ顔してたら、俺は、ものすごくイヤだわ。うん。」
作品名:こらぼでほすと 拾得物3 作家名:篠義