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囚われ

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「暇なときに、暇だから、編んだのよ。別に、あんたのために編んだんじゃない。暇だから編んだものだから、必要なものじゃないから、持って行って」
エリザベータは苦いものでも食べたような表情で、歯切れ悪く言った。
その様子をギルベルトは眺めつつ、考える。
どんな反応をすればいいのか。
軽く礼を言って受け取る。
なんだ、らしくねーなぁ、とニヤニヤ笑いながら受け取る。
そのどちらかを選んで、立ち去ればいい。
そうすれば、いつも通り。
なにも変わらないまま終わらせることができる。
でも。
エリザベータはずっと手をうしろにやってマフラーを隠し持っていたのだ。
つまり、最初から、それをギルベルトに渡すつもりだったということになる。
ローデリヒになにを話したのか気になったというのもあるだろうが、ギルベルトにマフラーを渡すのが目的でこの廊下に来たのだ。
エリザベータの言った通り、暇だから編んだもので、自分には必要のないものだからかも知れない。
だが、そうであったとしても、ギルベルトを思い遣っての行動であるのは間違いない。
心配してくれている。
自分のことを思い、自分のためになにかしようとしてくれている。
温かな想いを感じる。
胸に、その温もりが伝わってきて、しまいこんでいた感情の蓋を溶かしてしまう。
いつも通り。なにも変わらないまま。何事もなかったかのように。
そうしなければならないとわかっている。
しかし。
ギルベルトの身体が動いた。
エリザベータとの距離を詰める。
マフラーを受け取るためと思っているのか、エリザベータは動かないでいる。
ギルベルトは腕をあげた。
だが、その手はマフラーをつかまなかった。
そのかわり、エリザベータをつかまえる。
「えっ」
エリザベータは驚いたように声をあげた。
その身体がびくっと揺れたのを感じる。
もう、その身体は腕の中にある。
「……ギル?」
困惑した声が名を呼んだ。
ギルベルトはその身体を抱きしめる。
女性らしいやわらかな身体。
伝わってくる、体温。
心地良く感じる。
それがエリザベータのものであるからこそ、特別に感じる。
本当はずっとこうしたかった。触れたかった。自分のほうに引き寄せたかった。抱きしめたかった。
胸の中で感情が大きな波のように高ぶっている。
激情に突き動かされて、口を開く。
「エリザ。俺は」
今まで、わきあがってきてもすぐに胸の奥底にしまいこんできた感情だ。
「おまえのことが、ずっと」
その感情の名を知っている。
その想いがなにか知っている。
作品名:囚われ 作家名:hujio