【カイハク】死が二人を分かつまで
花束を手に、二人はサファイアの墓へとやってきた。
「あの・・・・・・こ、ここです」
ハクが示した墓に、カイトはかがんで花束を供える。
そのまま、カイトはじっと墓石に目をやって、
「貴女の無念は晴らします」
と呟いた。
その言葉に、ハクは驚き、
「え?あのっ、どういう」
「僕、死者の声が聞こえるんですよ」
「え!?」
「びっくりしました?」
笑いながら立ち上がるカイトに、ハクは真っ赤になって俯く。
「なっ、あっ、か、からかわないで下さい!」
「ふふっ。でも、若くして亡くなったのなら、心残りも多いでしょう。特に、大切な人を残していく場合は」
カイトの言葉に、ハクは、葬儀での憔悴しきったジェードを思い出し、沈痛な表情で頷いた。
「お二人は、本当に愛し合っていましたから」
「僕も、ハクさんを愛してますよ」
「えっ!?あ、あのっ!」
ハクは真っ赤になって、無意味に手を振り、
「あっ、あのっ、か、からかわないで下さい・・・・・・」
「本気ですよ」
カイトはハクの手を取ると、
「永遠に貴女を愛することを、貴女のマスターに誓います」
そう言って、手の甲に口づけを落とす。
ハクは耳まで朱に染めて、何も言えずにいた。
公衆電話のボックスにもたれて、ルビーは受話器を耳に当てる。
「ハァイ、ルビー。久しぶりね」
「調べて欲しいことがあるの。サファイアって魔道士が、召還中の事故で亡くなってる。事故の記録がないか、見てちょうだい」
「あらあら、いきなりなのねえ。それは有力な線なの?」
「それはカイトに聞いて」
ルビーのぶっきらぼうな口調に、電話の相手はくすくす笑い、
「夜までに送るわ。カイトとは上手くいってる?」
「それもカイトに聞いて」
ルビーは投げやりに言うと、さっさと電話を切った。
作品名:【カイハク】死が二人を分かつまで 作家名:シャオ