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【カイハク】死が二人を分かつまで

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「あの・・・・・・上がっていきませんか?」

墓参りの後、屋敷まで送ってもらったハクは、おずおずとカイトに申し出る。
もしジェードが出てきたらいい顔をしないだろうが、恐らく出てこないだろう。
だが、カイトは残念そうに、

「お言葉に甘えたいのですが、そろそろマスターが騒ぎだす頃なんです。あまり放っておいて、へそを曲げられても困りますからね」
「あっ、そ、そうですね。ごめんなさい、引き留めてしまって・・・・・・」
「いいえ、とんでもない。今日は楽しかったです。また会ってくれますか?」
「は、はい!もちろんです!」
「ありがとうございます。それでは」

カイトはハクの手を取ってキスをすると、手を振って去っていった。
ハクも手を振り返しながら、夢見心地で屋敷の中へ戻る。


ふわふわした心地で台所に入ると、用意しておいた昼食が手つかずで残っていた。ハクは、機械的に冷蔵庫へしまいながら、カイトとの逢瀬を思い返す。


あ、愛してるとか・・・・・・!どうしよう、そんなこと言われたの初めてで・・・・・・。


朱に染まる頬を両手で押さえ、椅子に腰を下ろした。


・・・・・・でも、嘘かもしれない。私のこと、からかってるだけなのかも。
こんなこと、真に受ける方がどうかしてる・・・・・・。


宿に泊まっていると言っていたし、滞在中の遊び程度なのかも知れないと考え、ハクは目を伏せる。


・・・・・・でも、嘘でもいいか。


夢はいつか覚めてしまうものだ。幸せは長く続かないものだと、サファイアを亡くしたことで思い知らされた。
カイトがこの町に滞在している間、夢を見せてくれるのなら、自分も積極的に楽しめばいい。夢が覚めてしまう前に。


手、手とか、繋いだら・・・・・・迷惑かしら・・・・・・。


その光景を想像して、ハクは耳まで赤くなるのだった。