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【カイハク】死が二人を分かつまで

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客間にて、ハクはカイトに促されるままソファーに座る。何をどう切り出せばいいのか、そもそも何が起こっているのか分からず、ぼんやりとカイトの動きを目で追っていた。
カイトは、ハクの向かいに椅子を持ってきて腰掛けると、

「お話ししても大丈夫でしょうか?」
「え?あっ、はい」
「貴女には辛い内容ですが。隠し立てしては、僕を信用してもらえないでしょうし、はっきり言いますね。ジェード氏は、魔道具に魅入られ、道を誤りました。強すぎる魔力を宿した道具は、人の心を惑わせます。彼は、扱いを間違えたのです」

ハクは、カイトの言葉が良く飲み込めず、首を傾げる。

「マスターは、魔道具の研究をしていました。扱いには精通していたはずです・・・・・・」
「残念ながら、その研究内容が問題なのです。魔物の存在は、ハクさんもご存じですね?」
「あっ、はい」
「魔物の殆どは、自分より劣る人間に、興味も関心もありません。ですが、一部に危険な感情を持つ者もいるのですよ。そういう存在は、魔物達にとっても好ましいものではありません。バランスを崩しますからね。ですので、そのような魔物を魔道書や魔道具に封じて、こちらの世界に捨てていきます」
「えっ・・・・・・迷惑ですね」

ハクがつい呟くと、カイトも苦笑して、

「本当に。彼らにとってこちらの世界は、都合のいいゴミ捨て場なのです。まあ、嘆いても仕方ありませんし、こちらの言い分など聞いてくれません。把握次第回収してますが、最近、それらが不自然に取り引きされていることが分かりましてね。調べてみたら、全てジェード氏の手元に渡っていることが分かりました。彼は、その全てを一つに纏めて、強大な力を持った魔道具を作ろうとしているのです」

淡い色の瞳が、じっとハクを見つめた。
不吉な沈黙に、ハクは二度、三度と口を開いては閉じ、やっと意を決して、恐る恐る言葉を発する。

「それは・・・・・・サファイア様の事故がきっかけですか?」
「いいえ。それよりも、もっと前です」

カイトの穏やかな瞳が、僅かに陰る。
ハクが問いただす前に、カイトが口を開いた。

「優秀な魔道士の魂を、彼は欲したのです。魔道具を、より強力な物にする為に」

その言葉の意味するところが、ゆっくりとハクにのし掛かる。