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【カイハク】死が二人を分かつまで

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サファイアの誕生日から一週間後、ハクはジェードから荷物を預かり、郵便局へ向かった。
片手で持てる程度の小さな箱は、茶色の包装紙に直接宛名が書かれている。ハクは宛名にちらりと目をやったが、特に知り合い宛でもないようだった。
夕飯の買い物をしていくか、あるもので済ませるか考えながら歩いていたら、横から声を掛けられた。

「ハクさん、こんにちは。どちらへ行かれるのですか?」

ハクが足を止めると、先日花束を渡してきた男が笑顔を浮かべている。

「あ、えっ、あのっ」
「僕はカイトです。宜しく、ハクさん」
「あー、えーっと、あの、ごめんなさい、私・・・・・・」

相手が自分の名前を知っていることに驚き、やはり以前会ったことがあるのだろうかと、ハクは必死に記憶を手繰った。
カイトのほうは、気を悪くした様子もなく、

「大丈夫ですよ。ハクさんと会うのは二度目で、貴女は僕の名前を知りません」
「えっ、あっ、え?」
「気にしないでください。調べるのが仕事なんです」

カイトは、自然な態度でハクの手を取ると、

「今日は、どちらまで行かれるのですか?」
「あ、あの、郵便局に」
「途中までご一緒させて下さい」
「え、あ、はい」

促されるまま、ハクは歩き出す。

「ハクさんの今のマスターは、ジェードさんとおっしゃるのでしょう?」
「あ、はい。カイトさんは、マスターのお知り合いですか?」
「いいえ。残念ながら、お会いしたことはありません」
「はあ・・・・・・えっと、では何故」


自分の名前を知っているのか聞こうとしたら、カイトはにこっと笑って、

「ハクさんは、作った人とマスターが違うのですね」

と言った。
不意をつかれて、ハクは驚いたように目を見開くと、

「え?あ、はい」
「僕もですよ。運命ですね」
「え?」
「ハクさんを作られたのは、サファイアさんという方なのですね」
「はい。あの」
「ジェードさんの奥方ですね。お気の毒に、事故に遭われたとか」
「あ・・・・・・ええ、はい。儀式の途中、手違いがあって」
「ジェードさんは、さぞ気を落とされたことでしょう。仲のいいご夫婦だったと、伺っています」
「ええ、とても。奥様が亡くなってしばらくは、誰とも顔を合わせたくないと、書斎にとじこもってしまわれて」

あの頃のことを思い出すと、ハクは今でも胸が痛む。
妻の後を追ってしまうのではないかと、ずっと心配していたものだ。